先月9日の中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会で、後発品使用を原則とする処方せん様式の再変更が了承された。これを受けて今月5日に同小委がまとめた「後発医薬品使用促進のための環境整備の骨子」案では、薬局の調剤基本料を引き下げた上で、後発品調剤率が30%以上に達する薬局の基本料を重点的に評価する方針が示された。
2008年度の診療報酬改定に向けた処方せん様式の再変更については、今年の春先に一般紙が大きく報道して以降、国の方針と相まって業界関係者の間では「概ね既定路線」との見方が強かった。それだけに06年度の処方せん様式変更時に比べ、ややインパクトに欠ける感はあった。しかし実質的には、2年前とは比べものにならない大きな変化が、特に保険薬局にもたらされる気配である。
11月中旬に行われたジェネリック医薬品(GE薬)メーカー上場各社の07年度中間決算説明会では、中医協での処方せん様式再変更了承に関するコメントが相次いだ。
医薬工業協議会の会長でもある沢井製薬の澤井弘行社長は、「欧米型の代替調剤の方向に近づいているため、薬局がキーポイントになってくる。GE薬の使用促進にとって非常にプラスになる」とコメント。また東和薬品の吉田逸郎社長も、「薬局では基本的にGE薬を在庫するようになり、(先発品を在庫する)現在の立場と逆転する可能性が高い」との見解を示すなど、両者とも薬局側の変化を挙げている。
一方、処方せんを応需する側としては、日本保険薬局協会(NPhA)の三津原博会長は、第1回日本薬局学会の際に行った会見で、「待ちに待った話。100%分業を目指すための『真の医薬分業の幕開け』だと確信する」と高く評価し、今後の保険薬局の果たす役割の重要性を改めて強調した。
今回の後発品を原則とする処方せん様式の再変更が実施されれば、GE薬の使用促進に向けた最後の砦は、間違いなく薬局になる。GE薬の調剤に関しては、限りなく代替調剤に近い形となるため、最終的な薬剤の選択権が薬局薬剤師に委ねられる状況になり、その責任はさらに重みを増す。
そうした中、大手ドラッグストアのスギ薬局は、同薬局で新薬からGE薬に切り替えた患者に対する追跡調査を始めている。患者の判断による先発品との効き目の比較などをヒアリングしてデータベース化し、それらの情報をメーカー側にフィードバックする取り組みを実施している。蓄積したデータでは「効き目などで、特定の医薬品に問題が集中する傾向がある」(同社)という。先鋭的な取り組みとして注目したい。
処方せん様式の再変更がもたらす薬局への影響は、単にGE薬の物量アップへの対応という側面以外にも、GE薬の最終選定と共に、患者に対する明確な説明責任も問われるようになってくる。いずれにしても国策として取り組むGE薬使用促進の鍵を、薬局薬剤師が握るのは確かだ。GE薬を社会的資源として育てていくためにも、従来の発想を大転換させなければならない時期が迫っている。