政府が昨年6月に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」で、2017年央までのジェネリック医薬品(GE薬)数量シェア70%、18年~20年までの早期に80%達成という目標値を掲げてから約1年半が経過したが、GE薬市場の動きは想定通りに動いていないようだ。
今月、GE専業メーカー3社の17年3月期中間決算が発表された。ここ数年、GE薬使用促進の追い風を受け、増収増益基調で推移してきたが、今中間期は、売上高は増収を確保したが利益面では減益となるなど、期初計画を下回り苦戦を強いられる結果となっている。薬価改定の影響もさることながら、それをカバーするだけの売上が確保できなかったところに起因するのだろう。
16年度の診療報酬改定は、前年度に比較し後発医薬品調剤体制加算の要件がさらに厳しくなることを受けて、保険薬局でGE薬の使用を促進する流れになるとの見方もあった。ただ、今年8月に日本アルトマークが発表した体制加算の届け出に関する調査では、今年6月時点で同体制加算を算定する薬局が、改定前の今年1月時点と比べ4831軒減少し、割合も60.3%から51.7%と、8.6ポイント下がっていることも示されていた。
また、日本ジェネリック製薬協会が9月に発表した16年度第1四半期(4~6月)のGE薬数量シェア分析結果(速報値)では60.1%となり、前年度末時点の59.0%から3カ月で1.1ポイントの伸びにとどまっている。今回、GEメーカーの中間決算業績が鈍化したことからも、4月の診療報酬改定に伴うGE薬使用インセンティブが、現時点では従来ほど使用促進につながっていない状況を示す結果となった。
こうした数量ベースの伸び悩みを受けて、沢井製薬の澤井光郎社長は、決算説明会の場で「インセンティブをとるためのハードルが、予想以上に高かったのではないか」とし、現状では来年度の数量ベース70%達成は困難との見方を示す。
これまで診療報酬改定ごとにGE薬使用促進のインセンティブ措置を行い、GE数量ベースのシェアもここまで高まってきたのは事実。ただ、ここに来ての停滞は現行のインセンティブ中心の使用促進施策だけでは限界点に達してきているとも言えなくはないだろうか。
現在、都道府県レベルではGE薬使用促進協議会を設置し、各自治体としての取り組みの検討が進められている。ある自治体の協議会では、医療従事者のGE薬に対する「漠然とした不安」が完全に払拭できていないような発言を聞く機会があった。GE薬の安全性等に関する情報提供について、誰がどういう形で果たしていくのかというスキームの確立の必要性を感じた。それがGE80%時代に向けて、まずは取り組むべき課題のような気がする。