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26日に開かれた「北里・ハーバードシンポジウム」
世界を視野に医薬品開発の課題を話し合う「北里・ハーバードシンポジウム」が26日、都内で開かれた。今回のテーマは、日本での国際共同治験の実施力。産学官の識者からは、海外からも含め日本への新薬開発投資を活発化させ、国際的新薬の創出につなげるため、治験の土台となる臨床研究の実施基盤(インフラ)への政府予算などのさらなる投資と、臨床研究を支える人材育成強化の必要性を指摘した。
内閣府の重藤和弘参事官は、「臨床研究のインフラ整備が遅れている」と指摘。「治験拠点病院や臨床応用を図るトランスレーショナルセンターなどの分野に、政府、外部資金を含めて手当てし、効率よく予算を使うことが必要だ」と強調した。現在、それら施設のネットワーク化と共同研究、重点的な予算投入を行っていく方向にあるという。
もう一つの課題として人材育成を挙げた。養成したCRCが企業に引き抜かれたり、リサーチャーの養成が欠乏しているなどの問題点を指摘し、待遇改善やキャリアパスを描ける仕組みが必要だとした。
厚生労働省の武田俊彦経済課長も、「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」により、「日本を新薬開発の基地にすべく、治験実施環境と薬の価格づけを世界水準にしたい」と改めて狙いを説明。インフラ整備と人材育成を課題に挙げた。重藤参事官が指摘した待遇改善については、給与を引き上げたりするのは難しいことから、治験を依頼する企業側が専門スタッフを揃える施設をより高い評価を行うなど配慮を求めた。
医薬品開発に携わる医師に対しては、臨床試験に関する体系的な教育を用意し、認定をするといった取り組みの検討がNPO「JCPM」によって始まっており、理事として携わる万有製薬の高橋希人副社長が報告した。
承認審査に携わる人材では、医薬品医療機器総合機構が審査官を倍増する計画となっているが、塩野義製薬の澤田拓子医薬品開発本部長は、倍増しても400人程度では欧米と比べ不十分との認識を示し、「より適正な人員数を検討してほしい」とし、外部からの登用も「よりフレキシブルに考えてほしい」と要望した。外部登用については、企業出身者の採用制限が緩和されたが武田課長は、キャリアパスを考えると審査官が民間に戻る際の就業制限も検討課題だとした。
一方、経済産業省の徳増有治大臣官房審議官(産業技術担当)もインフラ整備、承認審査官の増強だけでは不十分で、より短時間で高い水準の有効性、安全性を確保するための「レギュラトリーサイエンス」の確立が必要と強調し、そのための新技術、新知見を導入して新しい評価のあり方を模索することを求めた。特に、先端技術を用いた医薬品、医療機器の開発、審査で必要になるとして、対応を求めた。
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