顔の見える関係性を重視‐地域密着の健康サポート活動
フローラ薬局は、茨城県の水戸市と笠間市に3店舗の保険薬局を展開している。同薬局は開局(1996年)以来、地域密着の健康サポート活動の実績を積み重ねてきた。その中で構築された地域住民との信頼関係は処方箋ありきで始まった関係ではなく、人に対して薬剤師および薬局として関わり続け、顔の見える関係性を重視してきたからこそ生まれたものだ。現在および今後においても、さらに対人業務へ特化するため、対物業務はできるだけ自動化していくという考えであり、その二つを両立するという点において東日本メディコムの薬局情報共有システム「DrugstarPrime(ドラッグスター・プライム)」が大きく貢献しているという。
フローラ薬局3店舗のうち、河和田店(水戸市河和田町)は99年に開設された。スタッフは薬剤師が常勤7人、パート8人、栄養士1人、管理栄養士3人、事務スタッフ3人という構成だ。かかりつけ薬剤師は現在5人で、健康サポート薬局にもなっている。また同店はドライブスルーのバリアフリー型薬局で、目や手足の不自由な人、薬が飲みにくい人が薬をきちんと飲めるアドバイスにも力を入れている。さらに東日本大震災を経験したことで、「災害時にも薬を供給し続けるには電気が必要」と考え、太陽光発電による自家発電システムも導入している。
フローラ薬局代表取締役の篠原久仁子氏は近年の薬剤師業務について、「対物業務から対人業務へという流れがある。そうした中、薬の取り揃えが終わる前に、先に確認するということが前回の調剤報酬改定から義務規定となった」と説明。「先確認が必要となった時代の要請に応じ、以前から行っていたジェネリックへの変更についてだけでなく、残薬確認や患者さんの体調変化やアレルギーの有無などといった面でも、できるだけ受付の時点で薬剤師自身が先に確認しようということで取り組んでいる」とする。
優れた機能で多様な業務支える
そうした考えのもと、河和田店の業務を支えているのが、16年1月に導入した「DrugstarPrime」だ。篠原氏は、「例えば薬の変更があった場合、ただ漠然と患者さんと話をするのではなく、医師から何か話があったか等、その処方内容をきちんと読み込んだ上で先確認できるシステムになっていることが非常に素晴らしい」とし、導入の決め手になった点を指摘する。
篠原氏は、同店が採用している調剤過誤防止システム「missnon」と「DrugstarPrime」が連動している点も高く評価。「DrugstarPrimeの機能では、2次元バーコードで処方内容を読み取ったデータを過去歴と電子照合させているのでミスを見逃さない。一方のmissnonでは調剤した薬のGS1コードを読み取り、入力データと照合させ、薬をカメラで撮影するので、これらを連動させることで、対物に関する調剤においては過誤を限りなくゼロにすることができている」と話す。
また同店で管理薬剤師補佐を務める糟谷憲明氏は操作性の高さを評価している。「対人業務に移行するためにも、できるだけ記録等は見やすくあってほしいし、操作性も感覚操作できるものであってほしい。そうした点が非常に優れている」とし、「例えば併用薬の登録の面でもクリックが要らないよう工夫されているなど、非常に使い勝手が良い。対物業務から対人業務へ移行している同店において、その取り組みを支えてくれるシステムだ」とする。
同店も含めフローラ薬局では、自治体等とタイアップした薬物乱用防止講座や禁煙の啓発などの健康づくり事業をはじめ、薬膳・ハーブ教室、アロマセラピー講座、こども薬剤師体験、減塩など食育講座といった形で、調剤以外の地域活動という面でも様々な取り組みを行っている。篠原氏は、「現在、薬局には処方箋以外のつながりという役割も求められている中、地域に根づいて健康づくりのために少しでも貢献できる薬局でありたいと思っている」と語る。
そうした観点から、「DrugstarPrime」がポスレジと連動している点も優れた機能の一つとして挙げる。「ポスレジと連動していることで、われわれが取り組んでいる漢方相談やOTC販売、皮膚相談からの化粧品相談および販売、ハーブティの相談販売、薬膳教室をはじめとする教室参加費、栄養士による食品の相談販売などにおいて、様々な分析ができる。その分析によって、処方箋以外のつながりができていることがよく分かり、われわれの健康サポート薬局としての健康サポート活動を見える化することに非常に役立っている」と語る。
また同店は、今後発売予定の患者サポートサービス「DrugstarLead(リード)」を先行的にトライアル使用している。同サービスはウェブサービスで、処方歴から前後の変更点に着目し、変更となった薬剤や注意が必要な薬をタブレット画面に表示することで対人業務に利用できるというもの。その中にタブレットを使用する薬剤師のプロフィールを載せるという機能があるが、糟谷氏はこの点を高く支持しており、「タブレットは対面で指導する際に傍らに置いてあるというイメージだが、プロフィールを患者さんに見てもらうことで、自分がどのような薬剤師であるかを伝えることができる。この機能は非常に良い機能であると思う」とする。篠原氏も「かかりつけという観点で、対物から対人へシフトしていく環境を作ろうとした場合、人と人とのコミュニケーションは自己紹介から入ると思う。相手のことを聞く前に、まずは自分のことを名乗るが相手との信頼関係を構築する第一歩」とし、「かかりつけ薬剤師も様々なので、自分自身がどのような薬剤師なのかを紹介した上で患者さんの相談に対応できれば、より患者さんとの人間関係や信頼関係の構築につながるのではないか」との考えを示す。
フローラ薬局河和田店(東日本メディコム)
http://www.e-medicom.co.jp/shohin02/dsl/