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医療IT化へ標準化の推進が急務

2006年6月23日 (金)

 会員数339社を誇る保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)の通常総会が、このほど開催された。会員には大手のIT関連企業が軒並み名を連ね、日本の医療IT化を牽引する役目を担っている組織である。今年で創立12周年を迎えたが、これまで広範な保健医療福祉情報システムの標準化や、普及推進に関する種々の実務的な作業に努めてきた。ITではパソコン、携帯電話、インターネットなど便利さを追求した進歩が国民の話題に上るが、保健医療福祉の分野におけるIT化こそが、真の意味で国民と国家に貢献することは、万人が認めるところだ。

 では現状はどうかというと、これがどうにも心許ない。内閣府のIT戦略本部が今年1月、IT新改革戦略を発表した。医療分野では、▽2011年度当初までにレセプトの完全オンライン化▽オーダリングシステム、統合的電子カルテ等の統合系医療情報システムを、200床以上病院のほとんどに導入(400床以上は08年度まで、未満は10年度まで)▽08年度当初までに診療報酬体系を簡素・明確化し、コンピュータ処理、レセプトデータの有効活用に適した電子的な診療報酬点数表を整備――などの具体的な目標、方針が打ち出されているが、現在までの導入普及状況は、目標に遠く及ばない。

 医療IT普及のために最も急がれるのは“標準化”である。情報システムに限らないが、企業は自らが開発したシステムを、どこよりも早くスタンダード化し、市場で主導権を握ろうと躍起になる。営利を追求する企業としては、ごく当然のことである。しかし各社が協調して早期に標準を構築すれば、普及に拍車が掛かり、産業界の発展にさらなる弾みがつくことは、今までのビデオテープ駆動方式や、海外での携帯システム統一化等の事例からも明らかである。

 JAHISは組織を変更し、運営会議直轄の「標準化推進部」を新たに設置した。IT新改革戦略では、IT化による事業構造改革で21世紀に克服すべき社会的課題への対応として、医療がトップ項目に掲げられ、今年度から相互運用性実証事業の成果を製品へ取り込むことも記されている。標準化の推進はもとより、標準の普及と標準に基づく実装のための基盤整備が求められることから、標準化活動を横断的に評価し、JAHIS標準としての適合性を向上させるために新設されたものだ。

 同推進部には本委員会、国内標準化委員会、国際標準化委員会、標準普及委員会、医療ソフトウェア安全性検討プロジェクトが設けられ、JAHIS各部会の標準類の評価、適格性、整合性の維持など、標準化活動を支援する事業を担う。標準化の推進に、本腰を入れる体制が整備されたことになる。

 国内標準化委では、経済産業省の相互運用性実証事業成果をJAHIS標準として整備し、各社製品へ実装促進するための普及・啓発活動などが、テーマに掲げられている。

 日本は今、IT化を急ピッチで推進しているアジア諸国の台頭によって、世界はおろか、アジアにおけるIT大国の地位すら危うい状況に置かれている。保健医療福祉領域で標準化を一気に進め、世界に冠たるシステムを構築していくため、JAHISの活動に大いに期待したい。




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