今月初めに改正薬事法が成立した。医薬品の販売制度に関する薬事法の大幅改正は、現行薬事法が制定された1950年以来、実に46年ぶりである。法案が無事成立したのは喜ばしいことだが、まだ新たな販売制度の構築に向けて、骨格が決められたに過ぎない。改正薬事法が薬業界にとって、また国民にとって本当に良い制度となるか否かは、今後の業界関係者の対応にかかっている。
全面施行までに3年間しかないと感じるか、あるいはまだ3年もあるとボジティブに捉えるか。とにかく、この準備期間が極めて重要なのは確かだ。実施の細かな内容については、今後の厚生労働省令に委ねられている。
関連する業界はというと、法案成立以前の4月に「薬業界運営基準及び資質向上検討委員会」を発足させた。一般用医薬品販売を生業とする全日本薬種商協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本置き薬協会、日本大衆薬工業協会、日本医薬品卸業連合会(大衆薬卸協議会)の5団体が中心となり、これに学識経験者や医療関係者、法律家などが加わって構成されている。今週にも3回目の検討委員会が開かれる予定だ。
同検討委員会は、一般用医薬品の販売制度に関わる改正薬事法を、効果的かつ効率的に運用するための方向性や、社会的に満足する体制などについて協議・検討することが目的。ワーキンググループも含めて検討を重ね、708月頃をメドに報告書として取りまとめる予定という。
今回の改正内容のポイントとしては、[1]店舗販売業と配置販売業の2分類とした[2]購入者や販売者が一目で分かる一般用医薬品のリスク別3分類[3]登録販売者の創設(薬種商は既得権で移行)[4]販売時における情報提供の重視(専門家の常駐)[5]資質向上のための継続的教育を求める(厚労省や地方行政が団体を支援)[6]消費者がチェックできるようにする(消費者に対する改正内容の告知)――という6点が挙げられる。
どのような課題があるかというと、例えば3分類した医薬品の表示方法、説明文書の作成と説明の仕方をどうするかなど。また登録販売者に求められる認定試験のカリキュラム、試験の回数や難易度、さらに薬剤師と登録販売者との役割分担、位置関係なども考えなければなるまい。販売方法に関しても、リスク別陳列の定義、説明文書の内容、ま説明文書の渡し間違いのほか、説明を行ったか否かといった争点(責任)も問題となってこよう。このほか消費者に新制度をどうやって伝えるか、周知の仕方も重要となってくる。
業界団体等による検討委員会の関係者によれば、行政側もその検討内容(報告書)を、十分に考慮する意向を示しているという。
最終的な目的は、関係団体が力を合わせ、医薬品の適切な販売による安全の確保と、業界の発展を実現することにある。これまでの業界のエゴやロジックにとらわれない活動こそが大切であり、業界が力を合わせることが実現を容易にする。
こうした製配販の真剣な検討が、大衆薬市場の今後を大きく左右するともいっても過言でない。