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【ペプチドリーム】アロステリック阻害剤を発掘‐ペプチドから低分子化

2017年12月06日 (水)
舛屋氏

舛屋氏

 ペプチドリームは、独自の特殊環状ペプチド創薬プラットフォーム(PDPS)を用いて、細胞内で癌増殖のシグナル伝達に関与する蛋白質のキナーゼに特異的に作用し、薬剤耐性を引き起こさない低分子アロステリック阻害剤の創出に動き出す。今夏に包括的な開発プロジェクトを立ち上げたばかりだが、既に16種のキナーゼに対して活性のあるヒットペプチドを連続的に得ており、今年末から本格化するX線結晶構造解析による創薬標的蛋白質との複合体結晶構造情報をもとに、“ペプチドから低分子化”の創薬展開を図る。舛屋圭一取締役研究開発部長は、本紙の取材に対し、「創薬コンセプトに基づいてアロステリック阻害作用を持つ化合物を取得できるため、大きな事業の柱になる」と述べ、創出した化合物は自社創薬、早期段階での他社導出を柔軟に判断し、開発を進める意向を示す。ペプチドで攻略困難な創薬標的を丸裸にし、低分子化合物の可能性を広げる。

16種のキナーゼでヒット取得

 癌の増殖の仕組みは、リン酸化を制御するキナーゼの異常から、エネルギー代謝を活発化するアデノシン三リン酸(ATP)がポケットに結合することで、増殖シグナルが伝達されることが知られており、第2世代とされるイマチニブやニロチニブなど既存のキナーゼ阻害剤は、ATPが結合するポケットに競合的にくっつくことで、キナーゼの活性を阻害し、癌の増殖を止めるメカニズムを持つ。しかし、薬剤を服用するうちに、遺伝子変異によるATPポケットの構造変化が起きて効き目が弱くなったり、既存のキナーゼ阻害剤が標的とするATPの結合ポケットの立体構造が、キナーゼ間で共通しているため、標的とするキナーゼだけではなく、他のキナーゼにも作用し、意図しない副作用を引き起こすという問題を招いていた。


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