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「調剤0.3」で薬局は何を提供するのか

2017年12月22日 (金)

 2018年度診療報酬改定率は、医師の技術料などに当たる「診療報酬本体」を0.55%(国費+600億円程度)引き上げることで決着した。医科0.63%増、歯科0.69%増、調剤0.19%増で、技術料割合に基づく医科:歯科:調剤の配分比率は「1:1.1:0.3」となった。

 財源の確保が厳しい中、今回は、6年に1度の介護報酬との同時改定ということもあり、関係者は「調剤0.3」の比率が「堅持された」ことを強調するが、改定の別枠で実施される「大型門前薬局の適正化」(国費で約60億円削減)を差し引くと調剤全体ではマイナスとなるため、0.3は崩れていると見ることもできる。

 11月の「秋の行政事業レビュー」に限ったことではないが、調剤をめぐっては、以前からコストに見合ったサービスが提供できているのかという点が指摘されている。

 それを踏まえれば、毎回維持しようとする「調剤0.3」で、こういうサービスを提供したいという議論があってしかるべきだ。しかし、聞こえてくるのは、「維持できるかどうか」「どうやったら維持できるか」という話ばかりだ。

 点数ありきでサービスを考えるから負のスパイラルに陥ってしまうのではないか。処方箋を持って訪れた患者の薬物治療をより良いものにするために何が必要かを薬剤師自らが考え、実行に移していくことが必要だ。そうしなければ、いつまで経っても信頼は得られないだろう。

 一方で、16年度改定に引き続き、大型門前薬局の報酬適正化が改定の「外枠」で行われた。これに対し、チェーン薬局関係者は、「株式会社として利益を得ることの妥当性」を強調するが、その利益は何のために得るのか。

 より良いサービスの提供につなげるためのものであれば納得できるが、そうではないからこそ、社会から信頼が得られないのではないか。

 ましてや、今年1月に起こったC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品流通、大手調剤チェーンで相次いだ付け替え請求などの事案を目の当たりにすると、患者へのより良いサービスの提供を本気で考えていた企業だったとは到底思えない。

 チェーン叩きの背景には、これまで、コストに見合わないサービスで得てきた利益を懐に入れるのではなく、患者目線のより良いサービスの提供に振り向けるべき、というメッセージが込められていると理解したい。

 いずれにせよ、「コストに見合ったサービスの提供」という課題は、個店薬局にも突きつけられている。個店、チェーン問わず、医療に貢献するという思いを持ち、医療人としての責任を果たしてもらいたい。



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