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日女薬50周年、人材育成などに期待

2017年12月15日 (金)

 薬局や病院薬局など現場薬剤師の過半数は女性が占めている中、「日本女性薬剤師会」は設立から50年以上の歴史を積み重ねてきた。

 同会が設立されたのは1966年。日本女子薬剤師西部連合会、東海四県婦人薬剤師会など全国の女性薬剤師会が団結し“会員の親睦”“女性薬剤師の社会進出”“薬学・薬業の進歩発展への寄与”を目的に、「日本女子薬剤師会」として設立された。その後、99年に現名称である「日本女性薬剤師会」に改称された。

 同会の初代会長を務めたのは、故・秋島ミヨ氏。リーダーシップとカリスマ性を兼ね備え、女性に特化した組織をまとめ上げてきた。そして現在、同会の先頭に立つのは秋島氏の後を継ぎ、2004年に2代目会長に就任した近藤芳子氏だ。的確な現状認識と、豊富な経験から生まれる将来展望、力強い言葉や行動で女性薬剤師を引っ張る近藤氏の姿も、まさにリーダーと呼ぶにふさわしい。

 女性のライフステージには結婚、出産、家事など女性特有のライフパターンもある。近藤氏は「効率優先の中、ワーク・ライフ・バランスを実行するためには女性同士の結束は必要」と語っており、ここに同会の存在意義があると指摘する。

 また、薬剤師業務が対人業務へとシフトしている中では、女性の持つ感性を職能に活かすといった“女性ならでは”の視点もより重要になってきており、同会の存在意義は大きいといえよう。

 そうした同会の中で、近藤氏が成し遂げた功績は多々ある。大胆な組織改革に取り組んだことも一つで、その象徴が08年の一般社団法人化だ。一般社団法人となったことで、職能団体として公益性の高い事業を行っていくことが可能となったが、同時に団体として経営も成り立たせることが必須となった。「両方を円滑に進めることがトップとして私の責務」という近藤氏の言葉に導かれ、社会的にも大きな役割を担える職能団体として機能している。

 一方、強力なリーダーがいる場合、その後継も大きな課題となる。これまで積み重ねてきた歴史を礎に、さらなる成長・発展へと導いていく力は、一朝一夕で身につくものではないからだ。同会では現在、人材育成にも注力しており、現場でより実践的な指導ができる薬剤師をはじめ、指導薬剤師の育成に取り組んでいる。ひいては、そうした指導薬剤師の中から同会を先導する新たなリーダーが生まれてくることを期待したい。

 近藤氏は、「組織のトップ層にいる人はスタッフが成長していけるような調和のとれた環境づくりに努めなくてはならない。それと共に、スタッフにもそれなりの姿勢が求められる」という考えを持つ。人材育成としてまいた種が確実に芽吹き、しっかりと成長していくことが、今後の「日本女性薬剤師会」を支え、さらなる力強い歩みへとつながっていくのだと思う。



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