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【2018年年頭所感】地域包括ケアシステム構築に貢献‐日薬会長

2018年01月10日 (水)

日本薬剤師会会長 山本信夫

山本信夫氏

 世界的にも突出した速さで少子高齢化が進む中、社会保障制度改革への取り組みが急務となり、特に本年は、診療報酬・介護報酬等の同時改定や医療・介護等に係る各種計画の節目の年として、これらを有機的に連携させた取り組みが進められようとしています。こうした中で薬剤師と薬局には、「患者のための薬局ビジョン」に示された「かかりつけ」として、地域包括ケアシステムの構築に貢献していくことが求められています。

 「経済財政運営と改革の基本方針2017」では、調剤報酬見直しの方向性として、対物業務の適正化と対人業務の重視、薬局の機能分化のあり方の検討、保険薬局が果たす機能に応じた評価、かかりつけ薬剤師による服薬情報の一元的・継続的な把握等の推進が示されました。

 2016年4月より法に位置づけられた「健康サポート薬局」は、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加え薬や健康、介護用品などの相談にも応じる地域包括ケアシステムの中で重要な役割を担うものです。

 日本薬剤師会では、同薬局に常駐が義務づけられた薬剤師の資質確保のための「健康サポート薬局研修」を引き続き提供し、着実な普及推進を図っていくこととしております。

 一方、昨年は、偽造医薬品の流通や調剤報酬の付け替え請求、無診察処方という不祥事が続発しました。いずれも経済的な視点での不正行為であり、保険調剤や薬剤師・薬局が築き上げてきた国民の信頼を貶めるものです。こうした事態を真摯に受け止め、全ての薬剤師が倫理観と専門職としての矜持をもって、社会から信頼される医療人として業務に取り組まなければなりません。薬剤師の具体的な行動の価値判断の基準として策定している「薬剤師行動規範」に基づき、社会に対する責任を全うしていくよう求めてまいりたいと考えます。

 本年4月の診療報酬・調剤報酬改定の方向性は、患者本位の医薬分業の実現に向けて、薬剤師・薬局が実際に果たしている機能を反映したものとなることが想定されます。医薬品等の供給と共に、地域包括ケアシステムの中で多職種と連携して住民の相談役としての役割を果たし、国民の健康寿命の延伸に貢献していくことは、私たちの重要な使命です。

 地域において医薬品の一元的・継続的な薬学管理指導と薬と健康等に関する多様な相談に対応し、医薬品等の供給体制の確保と共に、セルフメディケーションを支援する、かかりつけ薬剤師・薬局の推進に引き続き力を尽くしていく所存です。



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