2018年が幕を開けた。年初から開催されている新年互礼会の席では今年の干支である「戊戌」にちなんで、「ワンダフルな年にしたい」という『お約束』の言葉を交えたあいさつを多く耳にした。医療・医薬品関連業界が厳しい環境下にある中で、関係者の素直な気持ちを表現してのことなのだろうか。
その業界関係者の耳目が集まるのが、今年4月の診療報酬改定の動向だろう。昨年末には、本体を0.55%引き上げることが予算大臣折衝を踏まえ決まっている。医科が0.63%増、歯科0.69%増、調剤0.19%増で技術料割合に基づく医科:歯科:調剤の配分比率は「1:1.1:0.3」となった。
一方で、本体引き上げの財源は18年度の薬価を1.65%、材料価格を0.09%それぞれ引き下げることや、大型門前薬局に対する評価の適正化措置を講ずることで対応する方針だ。
今月から中央社会保険医療協議会で具体的な診療報酬点数設定に関連する審議が行われ、2月中旬頃に厚生労働大臣に対し、改定案が答申される見通しである。ただ、近年、診療報酬改定の大枠については、最後は政治的な決着が図られるのが慣例化しているが、国民からの理解が得られているのかという点については再考の余地はあるのかもしれない。
一方で、薬局、薬剤師にとっては4月の診療報酬改定以降の方向性としては「患者のため」に医薬品供給機能をどう果たしていくかが大きなポイントとなるだろう。
昨年はC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造医薬品流通問題のほか、調剤報酬の付け替え請求など、薬局薬剤師がマイナスイメージでクローズアップされる不祥事が相次いだ。これらは、当該企業個別の問題として軽く受け止めてはならない。薬局薬剤師全体の問題として捉え、その信頼回復に向けて、個々の薬局薬剤師に課せられた責務を果たしていく必要があろう。
また、16年4月からスタートした「健康サポート薬局」制度では、未だ届出が全国の総薬局数の数パーセント程度にとどまるのが現状だ。かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を有し、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する意味からも、顔の見える薬剤師として、さらに積極的な取り組みを期待したいところだ。
冒頭、18年と書いたが、元号で言うところの「平成30年」は、今年が最後の1年でもある。この平成の約30年の時代経過の中で、当然ながら世の中は大きく変化している。
その最たるものはIoTの普及だろう。今や医療領域も含めてあらゆる事象で、それによる管理が進んでいる。そうした仕組みを活用し、薬局薬剤師がいかに、地域住民の健康に貢献できる存在へと進化していけるかにも注目していきたい。