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レジデント制度の認知度向上を

2018年3月30日 (金)

 卒後初期臨床研修や専門領域の臨床研修を行う薬剤師レジデント制度。10年以上前に日本で始まった当初、導入施設は右肩上がりに増えたが、約40施設に到達後は横ばいで推移し、大幅な増加には至っていない。公的な制度を目指す上で、すそ野の拡大は欠かせない。それには認知度の向上が必要だ。

 薬剤師レジデント制度とは、大学卒直後などのタイミングで病院などで薬剤師として働きながら1~3年ほど研修を受け、資質を向上させるもの。独自の研修プログラムに沿って早期に臨床業務を経験したり、様々な講義を受けたり、研究に取り組んだりして短期間で集中的に必要な知識やスキルを修得できる。正職員に比べると低いものの従来の研修制度とは違って給与が支払われ、安定した生活基盤の中で研修を受けられる。

 魅力的な制度だが、進路の一つとして薬学生に十分認識されているとは言い難いのが現状だ。先日、神戸市で開かれた薬剤師レジデントフォーラムでも、大学卒業後レジデントの道を選んだ薬剤師が「周囲からは『普通の薬剤師と何が違うの』『レジデントだと何かいいことあるの』『修了後はどうなるの』などと質問された」と報告した。

 施設側にも懸念がある。薬剤師の不足や偏在が続く中、特に地方の病院では正職員の薬剤師を募集しても応募は少ない。その環境下で、給与が支払われるとはいえ正職員に比べると低いレジデントを募集しても、薬剤師が集まるのかと疑問を持つのは当然だ。

 ただ、これらは一面的な見方に過ぎない。確かに卒直後の給与は正職員の方が高いかもしれない。しかし、長期的に見ればどうだろうか。未来のリーダーとして薬剤師レジデントに期待する声は多い。実際に、意欲が高く、はっきりとした目的意識をもった薬剤師がレジデントの道に進んでいるという。今後しかるべき地位を得て活躍できる人材になり得るだろう。

 現在でも施設によっては定員を上回る応募がある。地方でも魅力的な研修プログラムを構築すれば、薬剤師は集まりそうだ。先日、ある地域の大学病院薬剤部長から「この地域には薬系大学はない。この地域出身者以外の薬剤師をいかに呼び込むか。そのために制度の立ち上げを検討している」と聞いた。

 本人や施設、そして社会にとっても薬剤師レジデント制度は有益だと認識されるようになれば、この制度は広まるだろう。実施施設は、制度の特徴や有用性を社会に幅広く発信すべきだ。レジデント修了生も、その後活躍する姿を示してほしい。

 レジデント制度について考察を深めることは、日本において薬剤師の卒後初期臨床研修をどのように行うかを考える契機になる。この制度を導入するか否かという狭い視野から脱し、たとえ導入しない場合であっても、適切な卒後初期臨床研修のあり方を各施設で討議してもらいたい。




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