政府の規制改革推進会議が「規制改革推進に関する第3次答申」をまとめた。
答申では、オンライン医療の普及促進に係る項目として、「オンラインでの服薬指導を一定条件下で実現」することや「患者が服薬指導を受ける場所の見直し」が提言され、いずれも「2018年度検討・結論、19年度上期措置」というスケジュールが明示された。
これを受け日本薬剤師会は、16年の国家戦略特区法で、離島・へき地の居住者に限定した遠隔服薬指導の実証事業の動向を踏まえ、「慎重に検討すべき」との見解を示した。
日薬の山本信夫会長は、「実態に応じた対応」が必要になるとした上で、薬機法で「服薬指導の対面原則」が規定されていることを踏まえ、オンライン服薬指導のメリット、デメリットを踏まえた「ガイドラインを作成する必要がある」との考えを示した。
過去の規制緩和でインパクトが大きかったものの一つに、医薬品のインターネット販売が挙げられる。薬剤師が責任を持ってOTC薬を売ってもらうようにするため、販売ルールを見直してリスク区分を設定したにもかかわらず、現場がしっかり売っていなかったり、そもそもOTC薬を置いている薬局が少ないという問題があった。そこを見透かされ、医薬品のインターネット販売が解禁されてしまった。
こうした案件が浮き彫りにするのは、薬剤師が対面を主張するわりには、対面のメリットを示すことができていないという現実だ。薬局が批判されるのならまだしも、薬剤師が行っている業務が信頼されないという状況は残念でならない。
いずれにせよ、既にオンライン診療が行われ、診療報酬上の評価も新設されている状況で、服薬指導だけ対面の原則が維持されるとは考えにくい。オンライン服薬指導の一部解禁は時間の問題だろう。
ただ、たとえオンライン服薬指導が限定的な形で導入されたとしても、患者の多くは、顔見知りの薬剤師に指導してもらいたいと思うのではないか。
状況が変化したとしても、移動が困難な患者に対して、直接出向いて服薬指導を行ったり、定期的に服薬状況を把握しに行くといった取り組みを地道に行っている薬剤師・薬局は恐らく強い。
オンライン服薬指導の導入で、対面の原則が崩れることをことさら不安視するのではなく、OTC薬の販売や、健康相談も含め、いま薬剤師が対面ででき得る限りのことを徹底してやり遂げるということに尽きるのではないか。