急速な進展を見せる少子高齢化。今後も人口が減少することは確実視されているだけに、小売業としては消費支出の減少が気になるところで、これからは規模の拡大以外の戦略が必要となってくる。その一つとして、消費者が気づいていない潜在需要を引き出すカテゴリーを創造し、新たなマーケットを生み出す戦略がある。このほど都内で開かれた小売向け提案会には、店頭活性化を目指す薬局・ドラッグストアが多く詰めかけた。
大木ヘルスケアホールディングスの「OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会」では、既存カテゴリーの枠にとらわれない“新しいカテゴリー”を商品とサービスに落とし込んで提案を行った。「超高齢社会、人口減少社会」は、即ち「消費減少社会」のイメージがある。しかし同社は「ヘルスケア分野(快適生活、健康食品、医薬品、コスメ&バラエティ等)は、例えば消費の主力ターゲットとなる高齢者ニーズの掘り起こしなどでまだまだ伸ばす余地がある」と指摘する。
同展示会では、過去10年間の日本の総人口とGDPに占める民間最終消費支出の推移を紹介し、人口の減少と消費の減少がイコールでないことを示すと共に、人口構造・世帯構造の変化に伴う新しい需要を捉えて対策を講じる必要性を指摘。そして「新しい需要(ニーズ)を顕在化させるために、既存カテゴリーの枠の中で新しい需要(商品・サービス)を埋もれさせてはいけない」と強調した。
一方、アルフレッサヘルスケアが開催した「ソリューション提案商談会INDUSTRYIII─新しいドラッグストア業界を考える」は、ドラッグストア業界をめぐる環境が大きな転換期を迎えているとして、売場づくりの改革、顧客づくりの改革、健康づくりの改革という三つの視点での改革を提案した。
同ソリューション提案商談会は今回が第3回目となる。客観的なデータ分析に基づく売場改革が、消費者の関心づくりにつながり、そして顧客づくりを実現するという“実践型”の展示会として大手ドラッグ企業も高い関心を寄せており、特に今回は医薬品や健康食品等のカテゴリーをさらに細分化して、カテゴリー市場動向、都市型・郊外型店舗の棚割ゾーニング、映像による販売ポイントの解説、秋冬重点販売企画の紹介、プロモーション&クロスMDなどを、立地や客層ごとに分かりやすく豊富なパネルで紹介した。
社会の変化や消費行動の変化を捉えて、新たな需要の喚起を目指す小売向け提案会。多数のメーカーが出展する商談会としての意義を維持しつつも、近年は主催卸が店頭活性化につなげるべく、様々な切り口で提案を行っている。重要なのは、製配販が新たな市場創造に向けた意識を共有すること。そして提案を生かせるのは、消費者と接する小売企業側の取り組みであることを改めて認識してほしい。