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環境変化へ対応急ぐDgs大手

2008年05月02日 (金)

 ドラッグストア大手のスギ薬局は、今秋から「スギホールディングス」として、持ち株会社体制に移行することを発表した。ドラッグストア業界は近年、合併・買収(M&A)による再編が進んでいる。業容拡大とグループ化を目指して、ツルハホールディングス、アライドハーツ・ホールディングス、マツモトキヨシホールディングスが既に誕生しており、この4月からはセイジョーとセガミメディクスによる「ココカラファインホールディングス」がスタート。さらに9月には、ウエルシア関東と高田薬局が経営統合により「グローウェルホールディングス」を設立する予定というように、今後も勢力拡大を目指した動きが活発化しそうだ。

 スギ薬局の杉浦広一社長は今回の持ち株会社への移行について、効率的なグループ経営と共に、機動的な組織再編の必要性を強調する。2009年度から登録販売者による新たな販売制度が始まるが、「今後はGMS、スーパー、ホームセンター、家電業界なども医薬品販売に参入してくる。恐らく数年間で、この業界は激変すると思っている。再編が大きな渦を巻いて、嵐になるといえるのではないか」と述べている。

 同社も中期計画として、「10年度に店舗数1000店舗、売上高3500億円」を掲げている。2月末時点で関東エリアは138店舗、中部エリアは292店舗、関西エリアは194店舗の624店舗であり、1000店舗構想では関東が400店舗、中部が350店舗、関西が250店舗を予定する。今後順調に拡大したとしても、10年度末まであと3年しかないため、M&Aを含めたあらゆる成長の機会を捉える必要があるとの説明は理解できる。

 今回のスギ薬局の発表では、持ち株会社を設立するということ以上に、分社化による新設会社「スギメディカル」を設立し、訪問看護事業を含めた医療事業への深耕を図っていくことに注目が集まった。同社は、調剤併設型ドラッグストアを全店で展開していることが一つの特徴で、従来から注力してきた処方せん調剤や在宅医療等の事業を一層充実させると共に、地域医療機関との連携を強化していくのが狙いという。

 医療提供体制が、より在宅にシフトされることで、医師と看護師と薬剤師がネットワークを組んで患者宅を訪問し、地域の在宅医療を担っていく必要性がますます高くなる。杉浦社長は「単なる物販、ありきたりの調剤だけでなく、こうした部分にドラッグストアが参画することが必要」と述べる。

 医療事業への深耕の理由としては、今後の6年制薬剤師への対応も挙げている。臨床の知識も備えたレベルの高い薬剤師が、ドラッグストアのレジ係では、あまりにもお粗末ということで、「薬学界、ドラッグストア業界のためにも、新たな薬剤師の職場環境、活躍の場を企業が整備することが必要」(杉浦社長)という。

 これまでの既存の経営資源を生かして、さらなる地域医療への貢献も目指す――とするスギ薬局。これも新販売制度を、地域医療関連ビジネスへ飛躍するチャンスと捉えた動きであり、今後の展開を大いに注目したい。



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