超高齢社会における健康寿命延伸とヘルスケア産業育成の実現を目指し、ヘルスケアに関わる有識者、産業、関係者が集まった一般財団法人日本ヘルスケア協会と日本ヘルスケア学会。きょうからあす8日にかけて開かれる第2回日本ヘルスケア学会年次大会および日本ヘルスケア協会活動発表会では、関係者が一堂に会して日頃の研究会・部会の活動成果を報告し、情報共有・情報交換を図る。
日本ヘルスケア協会の発足の背景は、約5年前に遡る。当時(2013年6月)、日本再興戦略において、わが国の健康政策はこれまでの「生命寿命延伸医療政策」から「健康寿命延伸健康政策」へのパラダイムシフトが図られ、その実現を支える「ヘルスケア産業」を育成する方針が打ち出された。
この政策を受け、各省庁および地方行政において様々な施策や検討が行われ、民間企業や団体においても多くのヘルスケアに寄与する事業が始まることになる。また、官民や産学が連携したヘルスケア推進を謳う団体もいくつか誕生する。
しかし現状はというと、既存の既得権を持つ医療事業者および産業界の反発が多く、確実にヘルスケアに寄与する施策や事業、活動がほとんど進まない状況でもあった。
新たな政策や施策を実現するためには、そのための新しいロジックや枠組みなどの環境整備が不可欠となるが、それは整っていない状況にある。
そこで、健康寿命を延伸させるヘルスケア産業界の意見を政策に反映し、その振興および推進を支援する第三者機関の必要性を求める産業界の声も受け、当面する課題を解決すべく有志らにより日本ヘルスケア協会が発足した。
現在、協会を構成する日本ヘルスケア学会のもとには10の研究会が、また日本ヘルスケア産業協議会のもとには18の部会が設置され、それぞれ広範にわたるヘルスケア領域の具体的な課題解決に向け、研究および協議活動が行われている。
同協会の今西信幸会長(年次大会・大会長)は、今回の年次大会は、これら各研究会・部会の活動成果の発表の場であると共に、「これまで広くアカデミアに散在し、また産業界に潜在市場としてしか存在しなかった様々なビジネス領域の知見や試みを共有する場として活用されることが期待される」とする。
2日間にわたり、研究会発表(スイッチOTCに関する研究会、ヘルスケアの職能に関する研究会)のほか、機能性表示食品推進部会、スマイルケア食品推進部会、ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会、ドラッグストア在宅介護推進部会、健康経営推進部会、医療・介護・健康における職能連携部会などの各部会発表と活発な討論が行われるが、前回を上回る発表演題数からも、日本ヘルスケア協会の目的が着実に具現化されつつあると思われる。