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武田薬品の長谷川閑史社長は、9日に開いた決算説明会で会見し、米国バイオ医薬品会社ミレニアムの買収効果について、「アンメットニーズの高い癌領域で、リーディングカンパニーとしてのポジション獲得に大きく貢献する」と強調。ミレニアム買収により、「2020年には癌領域で世界トップ3入りを目指す」と語った。ミレニアム買収に投じる約9000億円に対しては、投資額に見合った成果を危惧する市場の声もあるが、長谷川社長は「買収による経済的・社会的価値の大きさの理解」をステイクホルダーに求めた。
長谷川社長は、ミレニアム買収について、「株式公開買付期間(4月11日05月8日)が終了し、応募株式数が発行済株式総数の91・9%を占めた」とTOBの成立を報告。「われわれが望んでいた形での買収が可能になった」と述べた。
さらに、ミレニアム買収のメリットとして、改めて[1]営業販売力[2]開発力[3]生産委託先のCMCコントロール機能‐‐を指摘。「癌領域において当社にないこれらの機能を、ミレニアムのパイプラインと共に手に入れた成果は大きい」とした。
ミレニアム買収による研究シナジーについても、「基盤技術の異なる当社研究所との相互補完が考えられる」と話した。その一例として、「武田サンディエゴの蛋白質構造解析技術を応用すれば、ミレニアムの研究の加速化が図れる」と構想を描いた。
癌治療ワクチンの取り組みについては、「これからのテクノロジーだが、武田薬品では取り組まない。当社のフランチャイズにマッチするものであれば積極的に取りに行く」と意向を示した。
癌領域以外での新たな企業買収の可能性については、「今後、ミレニアムのような大型買収を行う可能性は極めて低い」とした。
07年度2758億円(対前年比825億円増)、08年度4850億円を計上する研究開発費の増大にも言及し、「アムジェンの日本法人買収や日本国内での製品販売契約(300億円)をはじめ、ミレニアムの子会社化に伴う研究開発費の増大など、一次的な費用が重なった」と説明。「今後は、売上高の20%をメドとしたい」とした。
また、医薬品市場の将来を展望し、「低分子化合物の医薬品創出はほぼ出尽くした感がある」と分析。その上で、「とはいえ、抗体医薬品、核酸医薬品、治療用ワクチンが具体的製品に結びつく段階にある。現在、90%を占める低分子化合物の医薬品が25年には65%程度に低下し、新しいマーケティングが構築される」と予測した。
さらに、中国・インドの発展や世界的な人口増加を挙げ、「グローバルな製薬市場は必ず拡大する」との認識を示した。
- 【武田薬品】米ミレニアム社を88億ドルで買収
2008年04月10日
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