日本保険薬局協会・日本薬局学会が主催する第12回日本薬局学会学術総会が先週末に名古屋で開催され、多くの参加者で盛況を見せた。今回掲げたテーマは「かかりつけ薬剤師の役割、満足から感動へ」で、シンポジウム、特別講演、共催セミナー、ワークショップなど多数の興味あるプログラムが展開された。
日本薬局学会学術総会は2007年が第1回開催だが、その前身であるファーマシーフォーラムを含めると、通算で15回目となる。学術総会第1回のメインテーマは「責任を果たす薬局を目指して」で、その後も▽医療制度変革期に実践すべき薬局・薬剤師の役割▽保険薬局は新たなる時代(ステージ)へ▽薬局新時代への幕開け▽今、果たすべき保険薬局の使命▽薬剤師新時代──など、薬局を取り巻く環境変化を見据え、将来に向けた方向性を共有していこうという同学会の趣旨が感じられる。
かかりつけ薬剤師制度に続いて、健康サポート薬局の届出制度がスタートして2年余が経過して、改めて“かかりつけ”の役割と意義を明らかにしていく。そして「真に国民から信頼と満足が得られる保険薬局を実現していこう」という想いが込められた今回の学術総会。トピックスのいくつかを挙げてみたい。
来局患者への意識調査の中でも、大手調剤チェーンによる「かかりつけ薬剤師制度に関する患者アンケート」は、有効回答6532人と全国規模での実施であり、一つの指標となるだろう。「かかりつけ薬剤師を知っている」は37%、「なんとなく知っている」は33%だった。また、「かかりつけ薬剤師を持っている」という31%の人では、約7割が「持って良かったと感じたことがある」と回答している。
かかりつけ薬剤師を持って良かったことは「話しやすい」「毎回同じ薬剤師で安心できる」「服用中の薬を全て把握してくれる」等の声が多かったという。これは他の調査でも、同じ薬剤師が毎回対応する制度の特徴が利用者に安心感を与え、これを高いメリットと評価している人が多く、信頼関係の構築が患者と薬剤師の双方のメリットとなっていることが示されている。
このほか、糖尿病治療など生活習慣病の患者に、かかりつけ薬剤師が積極的に関わっていくことで、コンプライアンスの改善や副作用の軽減、血糖値の適正化が見られたなどの報告。また、健康サポート薬局として地域住民に対して開催する健康イベント等が、患者の生活意識や行動変化につながった報告も多く見られた。
一方で、「かかりつけ薬剤師はどうあるべきかを薬剤師側のみで考えるのでなく、利用者が薬剤師はどうあってほしいかを汲み上げ、業務に反映させていくことが重要」との意見は、印象的でもあった。
今回も多職種間連携を含め、医療制度や環境の変化に日々奮闘する薬剤師の姿が垣間見られる学術総会だったと言えるだろう。