先週末に千葉の幕張メッセで開かれた日本チェーンドラッグストア協会主催の「JAPANドラッグストアショー」は、今回で第19回を数える。まずまずの天候もあって、会期中の来場者数は業界関係者・一般を含め目標とした12万人を大幅に超え、盛況を見せた。主催者側は「進化成長するドラッグストアの一端を紹介できたのでは」と、まずは安堵の胸を撫で下ろす。
現在、ドラッグストア業界が進めているのが「次世代ドラッグストアづくり」で、店舗運営の原点である“健康と美容、快適生活ケア”関連の幅広い商材の販売に加え、これまでにない新しい社会的役割や機能を持つことで、社会と生活者が求めている「街の健康ハブステーション」を構築しようということだ。既に地域包括ケアシステムを視野に、予防・未病・介護の視点からの受け皿づくりに取り組むドラッグストアもあるが、業界一丸となって実現を目指すことが必須と言えよう。
同ショーの中で、実際にドラッグストアで在宅支援に取り組む薬剤師の講演を聞く機会があった。そこで演者は、最近の行政の方向性も紹介し、「今後薬局は特定機能薬局として、在宅医療を支援する地域連携薬局と、専門医療機関連携薬局の2類型が新たに制度化されるように、薬局自体に在宅・癌といったニーズの高い分野で専門性が求められている。まさにドラッグストアの役割もそこにある」と指摘した。
改めてドラッグストアの機能を挙げると、OTC医薬品、衛生用品、サプリメント、化粧品、介護用品、一般食品、生活雑貨、調剤、健康測定や健康相談など、実に幅広い。まさに「医療支援までを行うことができる生活支援ストアであり、地域社会の健康を支える健康支援産業」と見ることができる。
また、癌検診の受診状況が特に20代や30代で低いことも注目すべきポイントとする。「ある調査からは、癌検診を受けない理由は『受ける時間がない』『健康状態に自信がある』ということだけでなく、『癌検診を知らない』という認識の問題もある。ドラッグストアが健康寿命延伸に向けて目指すべき姿は、身近で気軽に相談できる場所であり、健康セミナーの開催や検診の案内も含め、医療・介護・福祉・生活の情報が集まる、地域の“健康情報発信”の拠点とならなくては」と訴えた。
近年の医薬分業率の上昇に呼応するように、ドラッグストアも調剤薬局を併設する動きが顕著となってきた。地域医療の一員たる薬局を有するドラッグストアとしても、その役割が広がると共に責任も重くなる。国民の健康寿命延伸をサポートするためには、日本薬剤師会、日本保険薬局協会とも連携協力して、業界を挙げて社会的な課題に取り組むことを強く望みたい。