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分業や長期投薬が影響
厚生労働省統計情報部は20日、2007年「社会医療診療行為別調査」結果を公表した。薬局での調剤を除いた診療行為点数に占める医科薬剤料比率は0・5ポイント減の21・2%と、引き続き減少傾向にあるが、院外処方が増え、薬剤料が医療機関から薬局にシフトする中、薬局調剤を含めた薬剤料比率は、0・4ポイント増の29・0%となり、一転して増加傾向。同部は医薬分業の進展、増える生活習慣病患者や投薬の長期化傾向が影響したと分析している。一方、06年の処方せん様式見直しで動向が注目される後発品の使用状況では、薬剤種類数に占める割合は19・3%で0・3ポイントの微増にとどまったが、様式の再見直しがあった08年の動向が注目される。
院外処方率は6割に迫る
07年6月審査分の約46万件のレセプトを対象に調査したもの。診療報酬・薬価改定年ではないため、主に自然な増減が現れる。
例年だと薬価改定年ではない場合、薬剤料比率は増える傾向が見られた。今回、医科薬剤料比率は減り、調剤薬局を含む薬剤料比率は増えた。
統計情報部は、院外処方率が59・8%(5・2ポイント増)で6割目前となり、医科で比率が減ったのは計上されない薬剤料が多くなったためと指摘。その分、薬剤料が薬局側にシフトした上、生活習慣病患者の増加や処方の長期化が相乗して、薬局調剤を含む薬剤料比率が増えたと見ている。
それは薬局での調剤行為に現れている。1件当たり点数は1000・4点で前年より4・3%増、薬剤料が押し上げた形だ。内訳を見ると調剤技術料が216・7点の1・4%減、薬学管理料は52・5点の0・6%減なのに対し、薬剤料は729・6点の6・5%増であった。
同部は、処方の長期化傾向により、1件で算定される薬剤料が増える一方で、手技料の算定が減った結果と説明している。投薬期間は平均17・4日と1・0日増えているという。
薬剤の使用状況を見ると、院内処方、院外処方ともに高血圧や高脂血症の治療薬を含む「循環器官用薬」が薬剤点数の占める割合で最も高い。他の薬効群の多くが構成割合を減らす中、院内で23・9%の0・1ポイント増、院外で26・8%の0・2ポイント増と伸ばしている。
また、インスリンを含むホルモン剤も院内7・2%の0・9ポイント増、院外2・7%の0・5ポイント増。糖尿病治療薬を含む「その他代謝性医薬品」は院内9・5%の0・8ポイント増、院外8・8%の0・8ポイント増と、生活習慣病関連薬剤の使用割合が高まっている。
後発品は種類で19%、老人が高い比率を示す
注目される後発品の使用状況では、薬剤点数に占める割合は6・8%の0・2ポイント増、薬剤種類数に占める割合も19・3%で0・3ポイント増と、共に微増にとどまった。いずれも老人医療の院内処方、診療所で使用される割合が高い。
薬剤点数に占める後発品の割合の内訳を見ると、入院では5・2%、院外処方5・5%、院内処方は9・7%で、院内の老人医療では10・0%を後発品が占めていた。循環器官用薬、消化器官用薬、その他の代謝性医薬品の割合が多い。
一方、薬剤種類数に占める割合の内訳では、入院17・2%、院外16・4%、院内では24・5%で、院内の老人医療では25・6%を後発品が占めていた。使用されている割合の多い薬剤は、ビタミン剤、循環器官用薬、消化器官用薬などである。
調査では、これまで薬剤費比率について、薬局調剤を除いた形で「おおよそ2割、減少傾向」としてきた。その中で院外処方率が高まり、薬局での調剤が無視できない状況から、統計情報部は薬局調剤を含めた形の薬剤料比率を資料の前面に出す形で発表した。
その場合、社会医療診療行為別調査での薬剤料比率は「約3割、増加傾向」と一転する。ただ、薬剤費比率は、算出方法が異なる国民医療費を基にしたデータ(04年度21・5%。横ばい傾向)が、同省の政策判断ではメインに使われるという。そのため、今回の調査結果がどう今後に影響するかは見えていない。
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