“
2006年4月の厚生労働省通知(請求省令一部改正)により、400床以上の病院は、今年4月診療分からレセプトのオンライン請求を行っている。400床未満でレセコンのある病院は10年4月から、同じくレセコンのない病は11年4月からのオンライン請求の導入が義務づけられている。
一方、レセコンでレセプトを作成請求(紙、電子媒体)している薬局は、来年4月調剤分からレセプトオンライン請求が義務化される。レセコンのない保険薬局は11年4月から、レセコンがなく処方せんが少数の薬局は12年以降からの対応が求められているところだ。
レセコンでレセプトを作成する薬局のオンライン請求実施まで実質1年を切っている。しかし各薬局では、「レセコンメーカーが何とかしてくれる」という風潮が強いようだ。果たして、本当にレセコンメーカーに全て任せられるのか。残念ながら、答えは明らかな「NO」だ。
その理由は、薬局がレセプトメーカーに任せられるのはレセプト内容をフロッピーに落とす確認作業までで、その後のデータ送信方法については自分の薬局で確立しなければならないからだ。
レセプト請求では、フロッピーに落としたレセプトをセキュリティを守った上で送信できる回線の確保が求められる。万が一、医療情報が漏洩した場合、漏洩した薬局の信頼が著しく損なわれるのは言うまでもない。セキュリティの高い回線確保が、薬局の大きな課題になっている。
レセプト請求で使用可能な通信回線は、ISDN接続、IP‐VPN接続、IPsec+IKEを組み合わせたインターネット接続の3方法がある。IP‐VPN接続では、NTTのフレッツサービスの利用が不可欠となる。
IPsec+IKEを組み合わせたインターネット接続は、NTTのフレッツサービス以外にも、YAHOO、eo光、ケーブル回線など既存のインターネット回線の利用が可能となる。
それぞれの回線は、費用や通信容量、通信速度などが異なる。各薬局では、自らの状況に合った通信回線の選択がポイントになる。地方によっては通信回線の選択肢が少なくなる可能性もあり、予め留意しておかねばならない。
社会保険診療報酬支払基金の調べ(08年5月)によると、レセコンを用いた電子媒体またはオンラインによるレセプト請求は、レセプト請求件数ベースで86・9%と高率だが、このうちオンライン請求となると4・9%と極めて低い。
レセコンの紙媒体でレセプト請求している薬局は、まず、レセプト内容をフロッピーに落とす確認作業をレセプトメーカーに依頼しなければならない。それぞれの支払い基金や国保連合会に電子媒体のテストデータを提出して確認を得るまでに約2カ月程度要するという。
薬局のレセプトオンライン化で最も懸念されるのは、大多数の薬局が一斉に回線確保に着手することだ。物理的に不可能なため、大混乱が予想される。スムーズな回線確保を推進するには、早い時期から電子媒体でレセプト請求している保険薬局より順次対応して行かねばなるまい。
それには、日薬の指導はもちろん、各都道府県薬による会員向けのレセプトオンライン請求に関する説明会の開催が不可欠となる。
“