日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)とドラッグストア業界では、2025年の10兆円産業化を目標に打ち出し、様々な取り組みを行っている。目標達成に向けた一つとして、薬剤師、登録販売者に加え、管理栄養士も活用して日常の食事・健康指導から調剤までの相談を担うと共に、ドラッグストア単独で在宅患者の栄養食事指導や特定保健指導を実施できる制度、環境を整備する必要性が指摘されている。
経済産業省が15年にまとめたドラッグストアが果たすべき役割に関する提言でも、消費者のセルフメディケーションの理解醸成、消費者に対する情報提供を支えるデータベースの整備などが明記された。
それに加え、専門人材のさらなる育成と消費者が相談しやすい環境整備が盛り込まれた。現在、この専門人材には管理栄養士が含まれていると言えるだろう。
従来、ドラッグストアにおける専門人材は、薬剤師や登録販売者であったが、最近はドラッグストア企業各社が管理栄養士の採用を強化している点に注目すべきだ。
昨年4月には、JACDSが管理栄養士の活用を強化していく方針を打ち出し、25年までに10万人まで増員するといった具体的な数値も示されている。また、ドラッグストアショーの場などにおいても、実際に管理栄養士がドラッグストアで活動している事例も報告されている。
例えば、ウエルシア薬局では、管理栄養士の活動として「健康栄養相談会」や「レシピコンテスト」などを実施し、地域からの健康・栄養に対するニーズに応えている。マツモトキヨシホールディングスの管理栄養士は、同社プライベートブランド商品の開発に参画しており、管理栄養士の意見を参考にした商品も開発されている。社内研修・講演会での積極的な研究発表なども行っている。
ドラッグストアで働く管理栄養士の数が年々増加している一方で、まだ管理栄養士が勤務し始めて歴史が浅いことから、未だに業務やポジション、ビジネスモデルなどが確立されていない課題もある。せっかくの管理栄養士の資格を生かせないという理由で退職する人も多いという。
日本栄養士会も、ドラッグストアにおける管理栄養士、栄養士の業務確立と共に、それに対する処遇を考えるよう要望している。
ドラッグストアの管理栄養士は、地域生活者の身近な相談者になれるという強み、様々な商品を通して健康の提案ができる強みがある。今後、さらに専門性を生かして地域生活者のニーズに応えていけば、ドラッグストアにおける管理栄養士の活動も明確化してくるはずだ。
その時には、ドラッグストアに管理栄養士が働いていることはもちろん、管理栄養士の職務などは地域の生活者に当たり前のように認知されているだろう。