米食品医薬品局(FDA)は10月21日、CFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)遺伝子の変異を原因とする嚢胞性線維症に対する治療薬として、Trikafta(一般名elexacaftor/ivacaftor/tezacaftor)を承認したことを発表した。
Trikaftaは嚢胞性線維症に対して初めて承認された3剤併用療法で、対象はCFTR遺伝子に1つ以上のF508del変異を有する12歳以上の患者。FDAによると、嚢胞性線維症患者の90%がF508del変異を持つという。処方情報には、白内障リスク、シトクロムP450 3A4(CYP3A4)を誘導または阻害する他の薬剤との併用、肝機能検査値の上昇に対する警告が含まれている。
同薬の有効性は、2件の臨床試験により示された。1件は、プラセボを対照とした24週間にわたる二重盲検ランダム化比較試験で、対象となったのは、F508del変異ともう一方の対立遺伝子に変異を有し、それが原因でCFTRタンパク質がつくられないか、ivacaftorもしくはtezacaftor/ivacaftorに反応しない患者403例。もう1件は、同一のF508del変異を2つ有する患者107例を対象に二重盲検ランダム化で行われた4週間にわたる実薬対照試験である。両試験とも、嚢胞性線維症の進行度を示す指標とされている予測1秒量に対する比率(%FEV1)のベースラインからの変化を主要評価項目とした。
その結果、1件目の研究では、プラセボ群と比較してTrikafta群で、%FEV1が4週目の時点でベースラインから平均13.8%増加した。2件目の研究では、tezacaftor/ivacaftor群と比較してTrikafta群で、%FEV1がベースラインから平均10%増加した。また、1件目の試験では、プラセボ群に比べTrikafta群で、汗中クロライド濃度、呼吸器症状および肺機能の増悪、BMIに改善がみられた。
一方、安全性の面では、これら2件の臨床試験で得られた嚢胞性線維症患者510例に関するデータから、Trikafta群ではプラセボ群と比べ、副作用として発疹およびインフルエンザの発症率が高いことが明らかになった。最も多く報告された副作用は、頭痛、上気道感染、腹痛、下痢、発疹、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)およびAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)の上昇、鼻閉、血中クレアチンキナーゼ濃度の上昇、鼻漏、鼻炎、インフルエンザ、副鼻腔炎、血中ビリルビン濃度の上昇であった。
なお、承認はバーテックス・ファーマシューティカルズ社に与えられた。(HealthDay News 2019年10月22日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-new-breakthrough-therapy-cystic-fibrosis