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医薬品流通の提言実現へ努力を

2019年11月29日 (金)

 38年ぶりにローマ教皇が来日し、被爆地である長崎と広島を訪れて犠牲者に祈りを捧げると共に、世界へ向けて核兵器廃絶を訴えた。被爆地訪問はフランシスコ教皇の念願だったとされ、長崎ではジョー・オダネル氏が撮影した「焼き場に立つ少年」の写真が教皇の横に飾られ、その映像を通じて世界中に平和へのメッセージが発信された。

 ローマ教皇は、天皇陛下との会見に続き、安倍晋三首相と会談、東日本大震災被災者との集いに参加。25日には東京ドームで5万人のミサを執り行うなど多忙な日程をこなした。インターネット時代の現在、世界で発生する様々な出来事が瞬く間に全世界に伝えられる。既に海外で発生している事態が、日本に無関係ではなくなったということでもある。

 こうした中、日本医薬品卸売業連合会の国際委員会は、「医療用医薬品の流通の安全性と品質確保に関する国際比較」の報告書をまとめ、▽信頼性の高い日本の流通構造の維持▽返品問題への取り組み強化▽規制強化と規制緩和のバランス▽グローバリゼーションとローカリゼーションのバランス――の4項目を提言している。

 報告書では、世界保健機関(WHO)の調査結果として、世界における不良・偽造医薬品の報告数が2013年から17年までの4年間で約1500件に上ったことを紹介。不良・偽造医薬品が発生するケースとして「品質が高く、安全で効果的な薬剤へのアクセスが制限されている場合」「病院や薬の調剤所における倫理の低さや公的セクターの汚職など、ガバナンスの基準が低い場合」「製造、質のコントロール、流通の規範を確保する能力や技術が限られている場合」の三つに大別できるとしている。

 また、欧州連合(EU)と米国のトレーサビリティに関する規制と市場の対応についても解説。日本で17年1月にハーボニー配合錠の偽造医薬品が流通した事例を挙げ、省令改正による再発防止策や医薬品医療機器等法改正案提出の動きを紹介している。

 提言では、日本の正規医薬品取引が、EUや米国と違い単層構造で全国統一の規制で機能していると指摘。こうした基本的な流通構造が不良・偽造医薬品の流通経路への混入防止に効率的に機能していると結論づけ、広く医療関係者と共有し、将来にわたり日本特有の流通構造を維持する必要があると訴えた。

 その他、返品も不良・偽造医薬品が混入する原因となり得るため返品問題の解決が求められていること、過度の規制強化と規制緩和は国民の健康を脅かし、社会的コスト増の結果を招くことなどを考慮して慎重な制度設計の必要性などを提言している。

 薬卸連は、日本における偽造医薬品の根絶を目指す意向を示している。患者や国民のためにも、提言の内容を広くアピールして、ぜひ実現につなげてもらいたい。




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