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薬機法改正、安全対策の変革好機に

2019年12月06日 (金)

 改正医薬品医療機器等法が11月27日に成立した。通常国会では継続審議となり、今秋の臨時国会でようやく法案が成立し、関係者は胸をなで下ろしていることだろう。

 前回改正が行われた2013年は、薬事法から薬機法に名称変更が行われ、再生医療新法が成立する歴史的な年となった。今回の法改正は、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器等を迅速に患者に届ける制度や薬剤師・薬局のあり方、製造販売業者、卸売販売業者の法令遵守体制強化と広範に及ぶ。前回よりも大きな改正になったと言ってもいいのではないか。

 特に製薬企業関連の項目では、業界の要望がほぼ認められた格好となり、「先駆け審査指定制度」「条件付き早期承認制度」が法律上明確化された。小児用量が設定されていない医薬品など、医療上のニーズが著しく充足されていない医薬品を「特定用途医薬品」と位置づけ、優先審査対象となる措置を講じるとされた。海外に比べて大きく対応が遅れていた小児用医薬品だが、企業に開発を促す制度が法的に位置づけられた意義は大きい。

 患者の医薬品アクセスが迅速化されることは歓迎すべきことだが、製造販売後の安全対策との両立が大きな課題となる。条件付き早期承認制度による承認品目については、速やかに有効性・安全性を再確認するために厳格な製造販売後調査を実施することが付帯決議に盛り込まれた。

 従来よりも短期間、少ない症例数の治験データで承認が得られる反面、十分な安全性を確保するためには承認後のデータ集積とリスク解析が必要になる。再生医療等製品の期限条件付き早期承認制度は、患者への安全性リスクを理由に海外の科学誌から批判を浴びた。今後、世界初の新規作用機序医薬品が日本で承認されるケースも増えると見られるが、製造販売後の安全性評価に投入されているリソースを考えると、国内製薬企業の安全性監視体制は十分とは言えない。

 使用経験がない医薬品に対しては、患者に起きた副作用を規制当局に報告する事後的対応に加え、対象疾患や製品特性から想定される安全性リスクを検討し、先手を打った安全対策で副作用の早期発見、対応につなげる仕組みも大切だ。医療情報データベースを用いた製販後調査は、安全性評価にかかるコストや労力を削減し、目的に応じて適切に使用すれば、従来の使用成績調査で明確な答えを出せない安全性の検討事項にも科学的なエビデンスを示せると期待が高い。

 ただ、カルテやレセプトなどの医療データは二次利用する上で課題が多く、実施可能性が検証できていないため、前向きな企業も本格的な導入には二の足を踏んでいる。薬機法改正を変革のチャンスにし、医薬品を迅速かつ安全に患者へと届けられるようしっかりした運用を期待したい。




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