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クラスター感染の発生防止に全力を

2020年03月13日 (金)

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、9日に現時点での見解を発表した。対策の基本的な考え方として、社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にするとの方針を示しているが、言うは易しで、この両立は極めて困難である。

 実際に、大規模レジャー施設の休園やイベントの中止、延期によって経済負担は拡大している。さらに、飲食店をはじめ様々な店舗を訪れる客は以前よりも明らかに少なくなっている。しかし、命とお金を秤にかければ、どちらを優先すべきは論を待たない。

 具体的な戦略には、「クラスター(集団)の早期発見・早期対応」「患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保」「市民の行動変容」を3本柱に据えている。日本の高い医療水準、行政機関の高度な調査力に言及し、今後の感染拡大に備えて、これらの体制強化、連携と情報共有が不可欠と指摘している。

 感染状況に対する見解としては、9日現在において「日本の状況は、爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないか」との考えを示した。

 イベント自粛の解除判断にも関連するが、2月28日から北海道で実施している「人と人との接触を可能な限り控える」対策に関して、潜伏期間と発病から報告までのタイムラグの約2週間が経過することを受け、今後感染者数の変化、実効再生産数、感染源(リンク)が明確な患者数という科学的な指標を用い、約1週間程度検討して対策の効果を判断し、19日頃をメドに公表予定としている。

 長期的な見通しについては国内、海外の感染状況から再流行、国内流入というケースも今後繰り返され、感染拡大が収束に向かえば比較的感染拡大のリスクが低い活動から解除するなど、「社会・経済活動の維持と感染拡大防止のバランスを取り続けるような対策を繰り返すことが長期にわたって続くと予想される」との見解を提示した。明確な時期に言及していないが、実質的な東京オリンピック・パラリンピックの延期宣告とも受け取れるのではないか。

 今回の見解では、国民と事業者に対する「お願い」が示された。これまでの感染状況データから集団感染が確認された場に共通するのは、▽密閉空間で換気が悪い▽手の届く距離に多くの人が密集▽近距離での会話や発声――という三つの条件が揃っていたという。そのため、クラスター感染の発生リスクを低下させるためには、換気の励行、ヒトの密度を下げる(距離を空ける)、近距離での会話、発声、高唱の回避という3原則を示している。

 本紙既報の通り、各種の迅速診断法・検査機器、ワクチン、治療薬の開発や医療体制強化が進められているが、感染拡大抑制に向けて3原則を遵守する国民一人ひとりの行動が求められる。




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