
米食品医薬品局(FDA)は5月15日、進行消化管間質腫瘍(GIST)の成人患者に対する4次治療薬として、Qinlock(一般名ripretinib、日本国内未承認)錠を承認したと発表した。
今回の承認は、GISTの分子標的治療薬であるイマチニブ(2002年に承認)、スニチニブ(2006年に承認)、レゴラフェニブ(2013年に承認)およびアバプリチニブ(2020年1月に承認)の承認に続くものである。投与対象は、イマチニブを含む3種類以上のキナーゼ阻害薬による治療を受けた患者である。
Qinlockは、同薬以外の分子標的治療薬(イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ)による治療を受けた進行GIST患者129人を対象とした、国際多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータに基づいて承認された。患者は、Qinlock投与群またはプラセボ投与群にランダムに割り付けられ、許容できない副作用またはGIST進行が認められるまで、各薬剤を28日サイクルで1日1回反復投与された。プラセボ投与群でGISTが進行した患者は、Qinlockへの切り替えが認められた。その結果、平均無増悪生存期間は、Qinlock投与群では6.3カ月、プラセボ投与群では1カ月で、Qinlock投与群で延長が認められた。
最も多く報告されたQinlockの副作用は、脱毛、疲労、悪心、腹痛、便秘、筋肉痛、下痢、食欲減退、手掌・足底発赤知覚不全症候群(手足症候群)および嘔吐であった。そのほか、皮膚がん、高血圧、左室駆出率低下を伴う心機能障害が重篤な副作用として出現する可能性があるため、医療従事者は、Qinlock投与患者にこれらの症状や兆候が現れていないか、定期的にモニタリングする必要がある。
また、Qinlockは、発育中の胎児または新生児に悪影響を及ぼす可能性がある。医療従事者は、妊産婦に対して、このリスクについて説明するとともに、同薬の投与期間中は授乳しないように説明する必要がある。さらに、医療従事者は、妊娠可能な女性およびそのパートナーである男性に対して、同薬の投与期間中および投与終了後1週間は有効な避妊法を実施するように指導する必要がある。
なお、承認は、米Deciphera Pharmaceuticals社が取得した。(HealthDay News 2020年5月18日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-drug-fourth-line-treatment-advanced-gastrointestinal-stromal-tumors