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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】カネマタ薬局(東邦薬品)

2020年07月31日 (金)

対物業務の時間を削減‐店舗の在庫を一元管理

営業本部取締役の貴田氏

営業本部取締役の貴田氏

 カネマタ薬局グループ(千葉県船橋市)は、創業から約70年にわたって地域の患者に寄り添った薬局づくりを進め、在宅医療や医療連携に注力している。これまでは店舗間の医薬品の分譲作業などに時間がかかり、経費やスタッフの負担も課題となっていたが、4月から導入した薬局本部システム「ミザル」によって作業にかかる時間や経費を削減でき、薬剤師をより対人業務に集中させている。

 1951年に創業したカネマタ薬局は、船橋市海神地区を中心に5店舗を展開し、そのうち4店舗を同地区内に構える地域密着型の薬局だ。

 薬剤師30人以上を含めた50人超の従業員が勤務しており、1日当たりの平均処方箋応需枚数は、最も多い船橋北口店で約180枚ほどになる。海神地区のクリニック、市内の基幹病院など地元の患者が多数を占め、子供から高齢者まで幅広い年齢層が各店舗に来局する。

船橋市内に5店舗を展開するカネマタ薬局

船橋市内に5店舗を展開するカネマタ薬局

 かかりつけ薬局としての機能発揮と在宅医療に注力しており、特に在宅医療については、高齢者の残薬問題などに大きな関心を持っていたため、保険診療として評価される前から患者宅で服薬指導などを行ってきた。全店で在宅医療に取り組んでおり、居宅療養管理指導料の算定件数は月600件ほどに上る。

 2店舗で無菌調剤室を設置して輸液管理や疼痛管理を行っているほか、全店でOTC薬、消毒液、マスク等を販売している。

 店舗間の距離が近いカネマタでは、在庫医薬品の分譲を頻繁に行っている。ただ、他店舗の在庫状況を相互に把握できず、分譲作業ではFAXや紙の伝票出力し、在庫品の移動や入庫処理などで計10分程度の時間がかかり、経費やスタッフの負担も大きかった。

 しかし、東邦薬品の薬局本部システム「ミザル」を4月に導入後、これら課題の解消が進んでいる。

ミザルの導入で効率的な在庫管理が可能となった

ミザルの導入で効率的な在庫管理が可能となった

 ミザルはインターネットを利用したクラウド型の本部システムで、各社レセコンからの処方データ、医薬品卸からの納品データを利用し、各店舗の発注、仕入、在庫、棚卸、売上の情報を本部で一元管理できる。

 Windows搭載パソコンとインターネットに接続できる環境があればすぐに導入でき、患者の調剤予定数量と発注時点の在庫数量を比べて在庫が不足していれば自動発注するほか、処方データに基づいて設定された適正な発注点を在庫数量が下回った場合は登録済みの医薬品が自動発注される。

 余剰在庫を自動登録して、店舗間で共有できるなどの機能も特徴的である。

オンラインで分譲作業‐より対人業務に専念

無菌調剤室を2店舗に設置している

無菌調剤室を2店舗に設置している

 カネマタでは前システムの契約終了後、一時は他社製品を使用していたが、貴田崇史営業本部取締役は「対物業務をできる限り削減したいという方向性とミザルの機能がマッチした」と導入の決め手を語る。

 従来の分譲で行っていた作業のほとんどがオンライン上でできるため、導入後3カ月で通信費の削減が進み、担当薬剤師の作業時間も減少するなどの成果が出始めている。

 導入時には東邦薬品が各店舗でレクチャーし、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮してオンラインで研修を提供したこともあり、スタッフからは「誰でも操作でき、医薬品に精通していない人でも扱いやすい」など、好意的な声が上がっているという。

 在宅患者が増加傾向にあるため、ミザルで捻出した時間を患者への服薬指導をはじめとした対人業務、薬歴の記載内容充実、医療機関との連携に関する報告作成などに注力し、サービスの質向上を狙う。今後は調剤補助業務を担うテクニシャンに在庫管理業務を任せ、薬剤師をより対人業務に専念させたい考えだ。

 貴田氏は「薬剤師を対物業務から対人業務にシフトさせることで、外来患者様の服薬指導の充実、投薬後のフォローアップ、医療機関との連携をより緊密にし、地域の皆さんに貢献できるよう存在感を高めていきたい」と語った。

カネマタ薬局(東邦薬品)
https://www.tohoyk.co.jp/ja/products/enipharma_series/enif_honbu/



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