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【薬剤師のスキルアップと生涯学習】京都薬科大学

2020年07月17日 (金)

専門・認定資格の取得支援

EBMワークショップの様子

EBMワークショップの様子

 京都薬科大学は今年度から、専門・認定薬剤師資格の取得を支援する社会人向けの教育プログラムを始めた。症例報告書の作成、研究計画の立案や実施、論文執筆のノウハウなどを教える全3コースを段階的に設ける。各コースでは1年間かけて少人数形式の講義や演習で学んでもらう。要件取得に必要な知識に加え、臨床現場で活躍するために必要な幅広い技能を系統立てたカリキュラムにより学習することが特徴で、薬学領域におけるリーダーとして活躍する人材を育成したい考えだ。

 専門・認定薬剤師の資格を取得するには、症例報告書の提出や研究の実施、論文執筆などの要件が求められる。経験者が不在でノウハウを持たない中小病院や薬局では、こうした知識や技能を独学で身につける必要があり、資格取得に必要な環境が整っていないことが課題になっていた。

 それらの資格取得を支援するため、京都薬大は履修証明プログラム「Lehmann(レーマン)プログラム」を開設。資格要件の基本となる「症例報告書」作成のノウハウを教えるコースを今年度から始めた。2021年度からは発展編の「研究計画・実践コース」「論文作成コース」を開講する。能力に応じて希望する1コースを選んで学んでもらう形式で、該当コースの履修により、専門・認定薬剤師の取得を見据えたノウハウを習得できる。

 単に要件取得に必要な知識を学べるだけでなく、知識を生かす技能を系統立てて習得できるカリキュラムになっており、職場で後輩に指導できるレベルまで達することを想定している。各コースには共通プログラムが設けられており、リーダーシップ論や統計学、基礎薬学、応用薬学、芸術、人工知能・ICTなどを幅広く学ぶことができる。特にリーダー養成基礎科目には多くの時間が割かれている。

 臨床薬学教育研究センター講師の今西孝至氏は「リーダーになるためには一つの専門分野の狭い知識だけでは足りず、包括的に物事を把握できる能力が必要になる」と語る。一般的な卒後研修でもリーダーシップやICTについて学べる講座は開催されるが、単発的な学びになってしまいがちだ。同プログラムでは1年間かけて体系立ったカリキュラムで学べるため、リーダーとしての素質や視点を順序良く身につけられる。

 先行して今年度から始まった症例報告書作成コースには、近畿を中心に関東や中国地方から薬局薬剤師10人、病院薬剤師3人など20~50代の男女計13人が受講。4月から月に1回程度、京都薬大に出向き講義や演習を受ける計画だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で当初の予定を変更。来校が難しい人には、講義動画をオンデマンドで配信するほか、ビデオ会議システムを使って遠隔地から参加できる環境も整え、6月から教育プログラムが始まることとなった。

 プログラムの全体像について臨床薬剤疫学分野教授の村木優一氏は、「学んだ内容を臨床現場の薬剤師の業務に生かすことができる教育プログラムになっている」と説明する。

 例えば、リーダー養成基礎科目の中にはEBMの講義やワークショップが設けられた。臨床現場では患者の問題解決に役立つ論文や科学的根拠を探し出し、エビデンスレベルを見極めた上で医師ら他職種に薬物治療を提案する必要がある。そのスキルを身に付けて臨床現場で役立ててもらいたい考えだ。

 手厚いサポートも特徴。各受講生に対して担当教員が付き、受講開始時に立てた目標を達成できるように、一人ひとりの成長の度合いに合わせてアドバイスする。

 学びを通じて治療の質向上に能動的に取り組む意識も養う。生涯教育センター長・教授の楠本正明氏は「患者に接する中で薬物治療の質を高められる余地に気づくことが大事。気づけば自ずとアクションが生まれる。その繰り返しが重要で、その意識付けができれば薬剤師として大きく成長できる」と期待を込める。

京都薬科大学 Lehmannプログラム
https://www.kyoto-phu.ac.jp/education_research/rishushoumei/



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