米FDAが新型コロナウイルスの新しい抗原検査法を緊急使用許可

2020年09月09日 (水)

この記事は2020年09月09日に配信された記事です。
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FDA

 米食品医薬品局(FDA)は8月26日、テストカードから直接結果が読み取れる、新型コロナウイルス抗原迅速検査に緊急使用許可を与えたことを発表した。

 BinaxNOW COVID-19 Ag Cardと称するAbbott Laboratories社のこの抗原検査法は、インフルエンザ、レンサ球菌咽頭炎や、その他の感染症の検査に使用されるのと同じ技術に基づいており、診察室や救急室、学校などの場所で行うポイントオブケアでの活用が期待されている。検査対象者は、医療従事者が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患している疑いがあると判断した、発症から7日以内の人である。

 検査方法は、クレジットカード程度のサイズのテストカードに開いた穴に試薬を6滴垂らし、患者の鼻から採取した検体の付いた綿棒を綿棒挿入口から挿入し、時計回りに3回転させて試薬と混ぜるというシンプルなもの。感染の有無を判定するために、コンピューターを備えた特別な装置は必要とせず、結果は、妊娠検査薬のように、カードに表示されたライン(1本だと陰性、2本だと陽性)から読み取る。わずか15分で結果が判明する上に、検査キットの販売額も5ドル(約530円)と安価である。

 FDAは8月15日にも、米イェール大学が開発した、特定の機器や試薬に依存しない新型コロナウイルスの唾液検査を承認しているが、Abbott Laboratories社の新型コロナウイルスの迅速検査市場への参入により、迅速検査がいっそうの広がりを見せる可能性があるとしている。

 ただし、どちらの検査も自宅で行うことはできない。今回、許可された抗原検査では、既存のほとんどの新型コロナウイルス検査と同様に、医療従事者が鼻腔スワブ検体を採取する必要があるからだ。一方、イェール大学の唾液検査は、綿棒での検体採取は必要ないが、結果の判定には高度な機器を必要とする。

 また、抗原検査の精度の問題もある。抗原検査は、PCR検査などの分子テストほど感度が高くない。そのためFDAは、抗原検査で新型コロナウイルス陰性が判明した場合でも、治療方針を決める前にPCR検査を実施し、陰性の確認が必要となるケースもあるとしている。

 FDA医療機器・放射線保健センター長のJeff Shuren氏は、「今回の緊急使用許可により、現在、利用可能な新型コロナウイルスの検査法に、新たに有効な検査法が加わった。この抗原テストでは、わずかな時間でテストカードから直接結果を読み取ることができる。つまり、ほぼリアルタイムでウイルス感染の有無を知ることができるということだ。検査方法も簡便で、製造量も相当になることが見込まれていることから、この新しい検査法は、今後のCOVID-19パンデミックとの闘いにおける大きな前進と言うことができるだろう」と話している。

 なお、Abbott Laboratories社は、2020年10月初めまでに、一カ月当たり最大5000万の検査が利用可能になるものと見込んでいる。(HealthDay News 2020年8月27日)

Source
https://www.physiciansbriefing.com/infectious-disease-8/coronavirus-1008/fda-approves-new-rapid-covid-19-diagnostic-test-760784.html

(参考情報)
Press Release
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/covid-19-update-fda-authorizes-first-diagnostic-test-where-results-can-be-read-directly-testing-card

https://www.fda.gov/media/141570/download


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