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「乳癌月間」に店頭も積極関与を

2008年09月29日 (月)

 現在、日本人女性の20人に1人が乳癌になるとされているが、乳癌に対する関心も検診受診率も低く、気づいた時には進行癌が多いのが実情だという。そこで、乳癌の早期発見・早期診断・早期治療の大切さを啓発する「ピンクリボン運動」が、日本でも広がり始めている。乳癌月間の10月には各地でイベント等も予定され、東京都でも民間と協働した大規模な運動を展開する予定だ。

 世界的に広まっているピンクリボン運動は、1980年代の米国で、乳癌の悲劇に見舞われた娘を思って、同じ悲しみを繰り返さないように願いを込めて、ピンクのリボンを孫に渡したという話に端を発したものとされる。その後、ピンクリボンをシンボルに様々な啓発運動が展開されてきたが、日本でも約10年ほど前からスタートし、徐々に取り組みが知られるようになった。

 乳癌は早期発見により多くが治癒するため、検診を定期的に受けることが死亡率の低下につながる。欧米ではピンクリボン運動により、乳癌の自己検診や定期検診の重要性が一般の人たちに広く認識されるようになり、死亡率が減少に転じているという。

 一方、日本はというと、先進国の中で今なお乳癌の罹患率、死亡率ともに上昇を続けているのが現状のようで、東京都が今回、ピンクリボン運動を大々的に展開する背景には、都の乳癌による死亡率が全都道府県中で最も高いことがある。

 都が展開する「ピンクリボンin東京2008」では、まず103日の夜に都庁舎がピンク一色にライトアップされる。初日は都庁舎ライトアップの開始に合わせ、都民広場で各種イベントも展開。このほか、▽記念バス共通カードの発売▽子宮癌検診の大切さを伝える郵便ハガキの発売▽電車広告ジャック▽ピンクリボンパネル展――が行われる。さらには10月を中心に、都庁周辺のホテル・商店街など、民間による関連事業も展開される。

 日本でのピンクリボン運動は、数年前から賛同する企業が増えている。東京新宿の大手百貨店でも今回、同運動のシンボルマークなどをデザインした独自商品の販売など、キャンペーンを支援する売り場を開設するが、小売業としてはドラッグストア大手のスギ薬局が、店頭を中心とした運動を今春から展開しているのが注目される。

 店頭にピンクリボン運動の啓発ポスターを掲示し、乳癌のセルフチェックを解説した小冊子の配布、さらには全店でスギ薬局オリジナルデザインのピンバッジを販売し、この収益金を寄付し、乳癌検診機器の整備や研究などに役立てられている。また、社員の定期検診制度の整備も図っており、社内外にわたり乳癌予防の啓発に力を入れている。

 現在、多くの薬局、ドラッグストア企業が「地域のかかりつけ薬局」「健康生活の支援」を目標に掲げている。乳癌の早期発見で、何よりも大切なのは“自発的なセルフチェックと定期的に検診を受ける”ことで、セルフメディケーション推進の中心的な役割を担う薬系店頭からも、積極的な関与を望みたい。



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