第53回日本薬剤師会学術大会
分科会の見どころ・聞きどころ
座長
日本薬剤師会常務理事
橋場元
北海道薬剤師会病診委員会
佐藤秀紀
世界的に薬剤耐性菌の増加は大きな問題となっており、WHOの「薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プラン」の五つの柱を参考に、国際協力という六つ目の柱を加え、日本においても、2016年からの5年間で実施すべき事項をまとめた「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が決定された。
本アクションプランでは、▽普及啓発・教育▽動向調査・監視▽感染予防・管理▽抗微生物剤の適正使用▽研究開発・創薬▽国際協力――の6分野で目標が設定され、活動が推進されてきた。
その中で、抗微生物剤の適正使用について抗菌薬の必要な病態かどうかを見極め、使用することで患者に害を与えず、耐性菌を増やさないことが適正使用に重要である。
病院薬剤師は、医師と協力し、院内採用抗菌薬の整備、抗菌薬の使用状況や感染症診療過程をチェックし、フィードバックを行っている。また、薬局薬剤師においても適切な内服抗菌薬使用促進への関与が大切であり、指導等に係る留意点の中で、服薬指導を円滑に実施するため、抗菌薬の適正使用が重要であることの普及啓発に資する取り組みを行っていることが望ましいと言われており、服用前後の関与が求められている。
今回の分科会では、基調講演として国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター薬剤疫学室室長の日馬由貴先生に、全国でのAMRの取り組み状況について御講演いただき、シンポジストとして京都薬科大学医療薬学薬科学系臨床薬剤疫学分野教授の村木優一先生に病院薬剤師の取り組みについて、日本薬剤師会副会長の宮崎長一郎先生には薬剤師会としての取り組み、札幌医科大学病院の藤居賢先生には北海道地区での病院薬剤師と薬局薬剤師の連携を含めた取り組みについて報告いただく。
さらに20年を迎え、分野ごとの目標達成度、現状および今後の取り組みや課題について、また薬剤師が今後どのように取り組み、そのために何が必要かについて、これからのAMR対策と共に議論したい。
(佐藤秀紀)