第53回日本薬剤師会学術大会
石垣 栄一先生の横顔

このたび、本会前会長石垣栄一先生が2020年度日本薬剤師会賞を受賞されますことを心よりお祝い申し上げます。
石垣先生は、自身のことはさておき絶えず周囲に気を配り、堅忍果決の行動を取られ、強靭な意思を持たれた人物です。
先生は、06年に東京都薬剤師会理事に就任され、08年より災害対策委員会担当常務として東京都地域防災計画における薬剤師班災害支援対策の基礎を固められました。
11年3月11日に発災した東日本大震災においては、発災翌日に災害対策本部を立ち上げ、未曽有の大災害において発生したインフラ設備の崩壊と物資の不足に持ち前の冷静さと分析能力を発揮して対応策を指示され、適正な支援体制準備の確保に努められました。
迅速な対応により、気仙沼市総合体育館、陸前高田市内救護所、そして福島あずま・飯坂地区での都薬支援活動を継続的に行え、自らも災害支援薬剤師として陸前高田市内救護所において複数回の支援活動に従事されました。
この経験を生かし、東京都薬剤師会災害時薬剤師班活動マニュアルを作成され、東京都における災害時活動体制の確立に多大なる貢献をされました。
15年に当会会長に就任されてからは、多職種連携に係る在宅医療服薬支援事業において、さらなる多職種との連携強化を目指すため、地域包括ケアシステムにおける薬剤師業務の確立に向けて精力的に取り組まれました。この取り組みにより、80%近い医療・介護関係者から高い評価を得ていることを申し添えます。
また、第50回日本薬剤師会学術大会in東京では、安倍前内閣総理大臣の開会式ご来場に尽力されるなど、東京ならではの学術大会に縁の下の力持ちとして精力的に取り組まれました。数々の功績を残された石垣先生ですが、自身の会長職は4年までと心に決めていたことから、惜しまれて御勇退されています。石垣先生、本当にご苦労をおかけいたしました。そして、今回の受賞誠におめでとうございます。
(東京都薬剤師会会長・永田泰造)
プロフィール
1979年東京薬科大学卒業。薬局勤務を経てあおばメディカルシステムズ経営。元板橋区薬剤師会会長。元東京都薬剤師会会長。元日本薬剤師会理事。元日本薬剤師会代議員。元日本薬剤師会職能対策委員会医薬分業検討会委員。元日本薬剤師会総会議事運営委員会委員。東京都医療審議会、薬事審議会、災害医療協議会、感染症医療体制協議会などの委員等を歴任。東京都知事表彰などを受賞。
藤垣 哲彦先生の横顔

藤垣哲彦先生が2020年度日本薬剤師会賞を受賞されましたこと心よりお祝い申し上げます。
先生を一言で言い表すと「男前の、頼りがいのあるリーダー」です。
広い視野に立ってわれわれ薬剤師、薬局の将来を見据え、一定の方向性を示し、強力なリーダーシップを発揮され、5期10年大阪府薬剤師会をまとめ上げられました。
地域包括ケアシステムへの参画を目指し、大阪府の委託による「健康情報拠点推進事業」「無菌調剤対応薬剤師育成事業」「患者のための薬局ビジョン推進事業」「薬局の在宅医療推進事業」等や国の委託による「入退院時の情報共有を軸とした各種薬学的管理の提案検討事業」を行い、その成果が期待されます。
また、東日本大震災の経験を踏まえて構築した大阪e-お薬手帳は参加者1万5000人超えの13年に開催された第46回日本薬剤師会学術大会(日薬120周年記念大阪大会)で披露することができ、現在、日薬よりe-お薬手帳として全国普及できたのは、先生の情熱と緻密な交渉力あってのものです。
東京オリンピック開催が1年後に延期されましたが、日薬での数々の活躍の中でスポーツマンの経験を生かし、「公認スポーツファーマシスト制度」を誕生させ、現在に至っているのは、先生のご尽力の賜物であることは忘れてはならないと思います。
ビジョン、ミッション、パッションの話を会員に対し、いつもされますが、一貫して薬剤師、薬局への深い愛、情熱によるものです。先生のますますのご健勝とご活躍を、心より祈念申し上げます。
(大阪府薬剤師会会長・乾英夫)
プロフィール
1975年昭和大学薬学部卒業。大鵬薬品勤務を経て谷川薬品商事経営。元大阪府薬剤師会会長。元日本薬剤師会副会長。元日本薬剤師会代議員。元日本薬剤師会介護保険対策特別委員会委員。元日本薬剤師会職能対策委員会高齢者問題等検討委員会。大阪府医療審議会、衛生対策審議会、薬事審議会、防災会議、大阪市保健医療審議会などの委員を歴任。厚生労働大臣表彰などを受賞。
葊田 誠介先生の横顔

葊田誠介先生が、日本薬剤師会賞を受賞されますことは大変喜ばしいことであり、また数々のご功績からすれば当然のことでもあります。
葊田先生は、1994年に熊本県薬剤師会の理事に就任され、2000年から副会長、さらに08年から18年までの5期10年間会長としてご活躍されました。この間に分業率は18%から74%と伸び、まさに医薬分業を力強く牽引してきた功労者のお一人であります。
分業率の伸びは他方で薬剤師への批判を生む原因ともなり、薬剤師を取り巻く環境は厳しさを増すこととなりました。先生は会長として個性豊かな理事を適材適所に配置し、会をまとめ、薬剤師業務の変化や多様化に適切に対応するための施策のほか、薬学教育6年制に伴う薬局、病院での実務実習の開始、新公益法人制度における公益法人への移行等多くの課題に取り組み、大きな成果を上げてこられました。
熊本地震では、県薬災害対策本部の指揮を執り、災害支援薬剤師の評価を高め、モバイルファーマシーの導入につなげました。
また、会長としてご活躍される傍ら「医・薬制度と医薬分業」を執筆されました。ここには医薬分業の歴史の流れが丹念に記されており、世代を超えて薬剤師に伝えるべき書籍となっています。
葊田先生は自主独立の精神をもって仕事をするという旨の話をされたことがありますが、これが多くの功績をあげた秘訣であり、今の薬剤師に必要な精神であると思います。
先生におかれましては、今後ともご健勝で、一層ご活躍されることを祈念申し上げます。
(熊本県薬剤師会会長・富永孝治)
プロフィール
1975年福岡大学薬学部薬学科卒業。日本国有鉄道入社広島鉄道病院勤務を経て88年に広田薬局開設。元熊本県薬剤師会会長。元日本薬剤師会代議員。熊本県医療審議会、熊本県薬事審議会委員などを歴任。厚生労働大臣表彰、熊本県知事表彰、熊本県学校保健功労表彰を受賞。2012年に藍綬褒章受章。
宮本 篤先生の横顔

宮本篤先生がこのたび栄えある日本薬剤師会賞を受賞されるに当たり、心よりお祝い申し上げます。
先生の北海道薬剤師会での役員歴としては、2008年より副会長として10年間にわたり、本会の幅広い会務・事業に携わっていただきました。
先生の豊富な知識と広い見識から、理論的なご意見、具申を数多くいただき、本会の円滑な会務運営に多大なるご尽力いただいており、現在は本会の相談役として、高所大所よりご意見をおうかがいしております。
先生の特に顕著なご功績としては、先生は本会副会長就任時期と同時期に、北海道病院薬剤師会会長、北海道地区調整機構委員長の要職をお務めになられていたことから、北海道内の薬局薬剤師と病院薬剤師の連携事業の企画・立案・運営と、06年から始まった薬学教育6年制による長期実務実習の薬局、病院、大学3者の円滑な連携構築にご尽力されました。
また、薬学生の受入体制、指導者の育成、実習期間中の対応等の仕組み作り、さらに、19年2月より開始された改訂モデル・コアカリキュラムへの対応等、本会のみならず幅広い職域に対し、北海道における薬薬連携、薬学生長期実務実習にかかる仕組みの礎を築いていただきました。
宮本先生におかれては、今後とも、本会の発展にお力添えをお願いしますと共に、ご健勝と一層のご活躍を祈念申し上げます。
(北海道薬剤師会会長・竹内伸仁)
プロフィール
1980年東北薬科大学大学院博士前期課程修了。薬学博士。幌南病院薬剤科勤務を経て札幌医科大学医学部教授、同附属病院薬剤部長を務める。現在、札幌医科大学名誉教授。現日本医療大学保健医療学部特任教授。元北海道病院薬剤師会会長。元北海道薬剤師会副会長。元日本病院薬剤師会理事。元日本薬剤師会代議員。元日本薬剤師会病院診療所薬剤師部会幹事。北海道がん対策推進委員会などの委員を歴任。
吉田 眞澄先生の横顔

吉田眞澄先生は、1983年に三重県薬剤師会鈴鹿支部長に就任されてから現在まで35年の長きにわたり、理事、副会長、監事として激動期の三重県薬剤師会の活動に多大の役割を担われ大きな足跡を残されました。96年に日本薬剤師会の代議員となられた後、2010年からは総会副議長、16年からは総会議長を務められました。この間、新公益法人移行に伴う諸議案や薬剤師をめぐる諸課題の総会審議に関して卓越した手腕を発揮されました。
特に、近年は薬局や薬剤師を取り巻く状況が大きく変化しており、総会におけるこれらの諸課題についての多様な議論に対し、その優れた指導力を発揮して総会運営を行い、国民の健康な生活の確保・向上に寄与することを目的とする同会活動・運営に大いに貢献されました。
吉田眞澄先生、このたびは本年度日薬賞のご受賞誠におめでとうございます。長らく薬剤師会でご指導を受け、間近に接していただいた後輩を代表して心よりお喜び申し上げます。
さて、もう「横顔」は申し上げるまでもございませんが、吉田先生は、私たちにとりましては何よりも「率先垂範」の人であります。阪神淡路大地震から始まる未曽有の出来事に対して真っ先に手を挙げられ、ボランティア活動をされてこられました。まだまだこれからもその思いは強く維持されるとは予想されますが、ご自分の体力にも十分お気をつけいただきたくお願い申し上げます。
もう一つのお顔として、先生は「ランナーズ・ハイ」の人でもあります。日薬学術大会、東海学術大会、また東京等での会議の時は必ずランニング装備を持参され、朝食前にランニングをされています。
ご存知の方も多いと思いますが、ご自分を律することのできる方で、会合前日に深酒をする者にとりましては、少し煙たい存在でもあります。吉田先生からのランニングのお誘いはご一緒できませんが、どうぞこれからも大所高所からのご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。
(三重県薬剤師会会長・西井政彦)
プロフィール
1970年岐阜薬科大学卒業。吉富製薬勤務を経てトミヤ薬局経営。元鈴鹿地区薬剤師会会長。元三重県学校薬剤師会副会長。元三重県薬剤師会副会長。元日本薬剤師会代議員。元日本薬剤師会総会議長。旭日双光章、厚生労働大臣表彰、三重県知事表彰などを受賞。
宮内 芳郎先生の横顔

このたび、宮内芳郎先生が日本薬剤師会賞を受賞されますことを心からお祝い申し上げます。
先生は、1996年に愛媛県薬剤師会の理事に就任され、その後常務理事、専務理事、そして2012年より7年間会長職を歴任され、目まぐるしく変化する社会環境の中本会の会員の士気を高め、多職種とも団結を図り薬剤師職能を広くアピールし、私たちのリーダーとして多大な功績を残されました。
17年9月10月には県下において「愛顔つなぐえひめ国体」が開催されました。行政や各団体との調和を図り、特にアンチドーピングにおけるスポーツファーマシストの役割を強調され、専務をはじめ多くの会員が自覚をもって参加しました。
また、18年7月の西日本豪雨災害においては、県内でも多くの会員が被災しました。その時いち早く陣頭指揮を執り情報収集と的確な指示を出し医薬品のスムーズな流通ができ、それが災害時における薬剤師の高い意識向上につながりました。
13年の一般社団法人化の移行においては県庁をはじめ各方面との地道な折衝を行い、現在の安定した本会の運営となっております。
学術・教育においては愛媛県独自の学術大会を継続し、各分野の薬剤師が集い交流を深めており、特に県内の薬学部とは顔の見える良好な関係を築かれ、薬学教育・実習においてもご尽力されています。
先生はよく「義理と人情」が大切だよ。とおっしゃいます。また美味しいお酒をこよなく愛される先生です。これからもお体には十分留意され、先達として時には杯を酌み交わしながら私たちの進むべき道を指南していただきますよう重ねてお願い申し上げます。受賞誠におめでとうございます。
(愛媛県薬剤師会会長・古川清)
プロフィール
1977年東京薬科大学卒業、健生ファルマシア経営、元愛媛県薬剤師会松山支部支部長、元愛媛県薬剤師会会長、愛媛県薬事審議会、医療審議会、災害医療対策協議会、地域医療構想推進戦略会議などの委員を歴任。愛媛県知事表彰、厚生労働大臣表彰などを受賞。