
米食品医薬品局(FDA)は9月25日、約14年ぶりに好酸球増加症候群(HES)の治療薬ヌーカラ(一般名メポリズマブ)を適応拡大承認したことを発表した。適応は、好酸球増加が6カ月以上持続し、血液と関連しない病因が特定されない、HESの成人および12歳以上の小児である。
今回の承認は、HES患者108例を対象とした、第3相二重盲検多施設共同プラセボ対照試験のデータに基づいている。患者は、標準治療に加えて4週間ごとに32週間、ヌーカラ300mgを皮下注射する群(ヌーカラ群)またはプラセボを皮下注射する群(プラセボ群)にランダムに割り付けられた。HESの再燃(32週間の投与期間中に、臨床兆候および臨床症状の悪化または好酸球の増加が2回以上発生と定義)が認められた患者の割合は、プラセボ群では56%であったのに対し、ヌーカラ群ではプラセボ群よりも約50%低く28%であった。さらに、ヌーカラ群では、初回のHES再燃が認められるまでの平均期間が、プラセボ群よりも長かった。
ヌーカラ群で最も多く報告された副作用は、上気道感染症および四肢(手や脚、足など)の疼痛であった。注射部位反応が認められた患者は、ヌーカラ群で7%、プラセボ群で4%であった。ヌーカラの有効成分であるメポリズマブまたは添加剤に対する過敏症の既往歴がある患者に対する本剤の投与は禁忌とされている。ヌーカラの投与による帯状疱疹の発生が報告されていることから、FDAは、医療従事者は患者に対し、ワクチン接種が医学的に妥当であると判断される場合は、患者にワクチン接種を勧めるべきであるとしている。
今回のヌーカラの適応拡大承認は、6歳以上の重症好酸球性喘息患者および成人の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症患者への適応承認に続くものである。ヌーカラは、HESの治療に関して、希少疾病用医薬品およびFast Trackの指定を受けており、さらに優先審査を受けることが認められていた。
なお、今回のヌーカラの適応拡大承認は、GlaxoSmithKline社が取得した。(HealthDay News 2020年9月29日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-drug-treat-group-rare-blood-disorders-nearly-14-years