PMS専用EDCを初製品化‐シンプル設計で直感的操作
クリンクラウドは、製造販売後調査専用EDC「JPMS」(ジャパン・ポストマーケティング・サーベイランス)を開発した。PMS専用のEDCとして初の製品化となり、9月から大手製薬企業で運用が始まっている。シンプルな設計で直感的な操作ができるのが最大の特徴で、ナビゲーション機能による短時間入力も実現した。小坂次郎社長は「これから営業活動を本格化させ、JPMSをデファクトスタンダードにしたい」と意気込みを語る。
同社は2014年に設立したヘルスケア系クラウドシステムサービス専門企業。世界的なEDCベンダーで長くサービスを提供してきたメンバーで立ち上げた。主な事業として、米国の大手EDCベンダーであるDatatrak International Inc と提携し、臨床試験向けEDC「Datatrak Enterprise Cloud」をコンサルティング・導入する一方、創業当初から注力してきたのがPMS専用のEDCの開発だ。
小坂氏らは、PMSに求められているEDC製品を追求。大手製薬企業と議論を重ねながら、実際に使用する医師の意見も取り入れて開発を進め、6年かけて「JPMS」を完成させた。
最大の特徴は、シンプルな使い勝手でマニュアルを見なくても簡単に入力できることにある。紙芝居のような分かりやすい画面遷移で、誰でも直感的な操作ができるほか、利用者の環境に左右されないクラウドシステムを採用。ナビゲーション機能により短時間での入力を実現し、価格も通常のEDCに比べて安価での提供を可能にした。
PMSについては、依然として紙ベースの運用が続いているのが現状で、MRが安全性情報に関する調査票を回収し、本社のデータマネジメントシステムに入力するまでの時間がネックとなっていた。また、医療現場で有害事象が発生しても、調査票が登録されない限り第一報も出せない状況にあった。
小坂氏は「クラウド型のEDCによりワンストップで迅速に安全性情報の入手と伝達ができるようになれば、こうした状況を打破できるのではないか」と期待感を示す。
一方、PMSでは、臨床試験に比べてデータに関する問い合わせが多いと言われている。サービス&サポート本部の浅見和弘本部長は「PMSでは再調査や再々調査が行われることも珍しくなく、MRが何度も医療機関に足を運んで、データをクリーニングしていく過程が最も大変な作業になる」と指摘する。
JPMSについては、大手製薬企業で9月から運用が開始されている。既に他社からも引き合いが来ている状況で、今後営業活動を本格的に展開していきたい考え。浅見氏は「お客さんに使っていただく中で、様々な要望が出てくると思う。その声を真摯に受け止め、柔軟に対応することで、新たな機能の充実など改善につなげていければ」と話している。
今後の展開について、小坂氏は「JPMSをデファクトスタンダードにしていくためにも他社システムとの連動を進めていきたい」と意欲を示す。
新型コロナウイルスの感染拡大は、MRの医療機関訪問が制限され、ウェブ面談などが一気に浸透した。こうした時代の追い風も背景に、同社はJPMSの浸透を図っていく。
クリンクラウド(JPMS & Datatrak Enterprise Cloud)
https://clin-cloud.com/