豊富な実績強みにDX推進‐副作用予測の実現目指す
CACクロアは、安全性情報進捗管理システム「zenflow(ゼンフロー)」による個別症例報告の支援を行うと共に、市販直後調査システム「Vigilia(ヴィジリア)」を展開し、製薬企業の幅広い安全性情報管理(PV)業務に対応してきた。豊富な受託実績を背景に、日本の規制とPV業務に精通している強みを最大限に生かし、今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を加速させ、一次作業の自動化や副作用予測の実現を目指していきたい考えだ。
同社は、「ITに強いCRO」を前面に、PV業務では独自のパッケージ製品であるzenflowを活用した個別症例安全性報告(ICSR)や定期的ベネフィットリスク評価報告(PBRER)の支援などを行っている。zenflowは、PV業務の進捗管理などを行う「zenflow PV」、MRが医療機関から入手した安全性情報をクラウドでPV部門とやりとりする「zenflow MR一報」、文献の評価や進捗管理を行う「zenflow 文献モニタリング」、提携先や他社への情報提供を管理する「zenflow 他社送達」――の四つの機能が特徴となっている。

また、PV業務の周辺システムであるVigiliaは、製薬企業の市販直後調査を支援するもので、これと併せた業務支援も可能となっている。さらに、人工知能(AI)を活用したMedDRA用語の推論を支援するシステムの提供も開始した。zenflowや顧客のシステムに組み込んで活用できるという。
取締役執行役員東日本事業部長の三谷敏之氏は「CROとしての長い経験をもとに、PV業務と日本の規制をよく理解した現場目線で開発されているのが強みで、日本の業務に合った支援をすることにより、全体を効率化できる部分が顧客から支持されているのではないか」と話す。
同社では、PV担当者の育成カリキュラムを充実させているのも特徴である。AIなどの活用でPV業務の自動化が予想されているが、取締役執行役員西日本事業部長の小柳寿雄氏は「AIやロボットに置き替われない人が作業する部分について、十分に教育できているかが差別化になる」と強調する。
同社のオペレーターは定着率も高く、規制の変更やチェンジオーダーなどにも、すばやく確実に対応できるため、結果的に安定した品質を顧客に提供できるメリットが生まれているようだ。

zenflowイメージ
こうした新しい変化への対応として、小柳氏は「従来のPV業務の中心であった当局対応に加え、今後は製薬企業から患者や医療従事者に対する情報提供の取り組みなどが必要になる」との見方を示す。世界的に「事後対応型」から「予測型」に安全対策がシフトしてきている中での対応を課題に位置づける。
PV業務の方向性について、小柳氏は「従来の症例処理業務は、より効率化、定型化の方向に進むと考えており、積極的なデジタル活用によって貢献していきたい」と指摘。「AIやロボットなどの利用を計画的に進め、一層のローコストオペレーションを実現していきたい」と話している。
今後はPV業務のDXも加速していきたい考えである。特に一次作業の自動化や副作用予測を手がける構想で、小柳氏は「CROだからこそ取得できるデータを利用し、一日でも早く副作用の予測につなげていきたい」と語る。
さらに、三谷氏は「われわれがローコストオペレーションを実現することにより、顧客に安価なサービスを提供していくためにも、業界全体の標準化を進め、効率化を図っていきたい」と述べ、業界標準の構築にも意欲を示した。
CACクロア(zenflow/Vigillia)
https://www.croit.com/