日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が主催する大きなイベントの一つに「JAPANドラッグストアショー」がある。1999年のJACDS設立の翌年から開催され続け、近年は3日間の会期で業界関係者と一般来場者が12万人超に上る一大イベントとして定着している。また、ドラッグストアや業界に関わる全てのアイテムや新たなビジネスモデルが対象となっている出展社も非常に多種多彩と言えよう。
今年も、ドラッグストアショーは3月に千葉市の幕張メッセでの開催が予定されていた。しかも第20回という節目の記念大会で、多くの来場者や出展社が見込まれており、ドラッグストアを広くアピールする場として期待は高かった。しかし、今年に入って各方面に多大な影響を与えている新型コロナウイルスの感染拡大はドラッグストアショーも例外ではなく、第20回のドラッグストアショーは中止に追い込まれた。
コロナ禍にある現在、各種イベントのあり方に明確な答えはなく、様々なところで検討が重ねられている状況で、ドラッグストショーも同様である。
第21回のドラッグストアショーについても、当初は例年通りにリアルの展示会として準備を進めていたが、コロナ禍の収束が見えない中、「バーチャル開催への変更」という意見が挙がった。これに対してJACDSでは、過去の出展社にアンケートを実施している。
アンケートの結果、多くの企業が「賛成」と回答したことに加えて、リアルでの開催はリスクが高すぎるとの判断によって、第21回のドラッグストアショーは初のバーチャル開催が決まった。テーマには「ドラッグストアから未来の健康づくり―ライフスタイルの転換期 セルフメディケーション生活実現へ」を掲げ、開催日は一般生活者向けが来年3月13~21日、ビジネス向けが3月17、18日となっている。
バーチャル開催の利点としては、▽場所の概念がなくなる▽期間も長く開催できる▽リアルに比べると安価に出展できる▽マッチングがしやすくなる――などが考えられている。来場促進イベントや特別出展(展示)など、バーチャルならではのイベントも想定される。
いずれにしても、JACDSとして初めての挑戦であり、手探りで作り上げていくことになるだろう。
さらに、これだけ大きな規模でバーチャルの展示会を開催した事例はなく、日本でも史上初・史上最大のバーチャル展示会になるという。JACDSがこれまで培ってきたリアル開催の利点が多いことは間違いない。
この利点にバーチャル開催でしかできない点を融合させるため、現在準備が進められている。コロナ禍という非常時に、新しい形の展示会を追求するJACDSの取り組みに注目したい。