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注視すべきデータヘルス改革

2020年11月06日 (金)

 マイナンバーカードや健康保険証の記号番号等を利用して、患者の医療保険の資格を医療機関や薬局ですぐに確認できる「オンライン資格確認」が来年3月から始まる。オンライン資格確認の仕組みを基盤として、データヘルス改革が進められる計画で、薬局薬剤師への影響は大きい。動きを注視しつつ、薬剤師の職能発揮につながるよう各現場で対応していく必要があるだろう。

 薬局で患者を受け付けた時にオンラインで医療保険の資格を確認できる仕組みが実現すれば、どんなことが可能になるのか。まずは資格過誤によるレセプト返戻作業や窓口での入力作業が減少するため、業務の効率化につながる。

 ただ、業務の効率化は本質ではない。重要なのは、国民の健康や医療、介護関連情報を保存する各種データベースを、個人のマイナンバーなどで横串を刺して連結する土台ができることだ。そこに病院や薬局などの医療機関がつながり、ネットワークが形成される。これら基盤の上に、今後様々な機能が段階的に加えられる。

 機能の一つとして、2021年10月から薬剤情報の一元的な把握が可能になる。医療機関や薬局でマイナンバーカードを用いて同意を取得した患者を対象に、支払基金や国保中央会が保有するレセプトのデータベースをもとに過去3年分の薬剤情報を閲覧できるようになる。

 22年夏頃には、医療機関や薬局で把握できる患者情報の範囲が広がる。手術や移植、透析、医療機関名などの閲覧が可能になる見込みだ。

 22年夏頃から、いよいよデータヘルス基盤を使って電子処方箋の運用が始まる見通しだ。電子処方箋の仕組みとして、患者は医療機関から受け取ったアクセスコードと確認番号を薬局に提示し、薬局は電子処方箋管理サービスにアクセスして電子処方箋を応需する運用方法が想定されている。

 紙から電子的な運用に変わることで利便性が高まり、受診後どの薬局へ足を運ぶかという患者の行動は変わる可能性がある。

 さらに、電子化された処方情報の共有が実現すれば、薬局薬剤師は、直近の状況を反映した患者の薬剤情報を得られるようになる。21年10月から実現する薬剤情報の一元的な把握は、レセプトのデータベースに基づくもので、直近の処方情報は反映されていない。電子処方箋等の共有化によって、真の薬剤情報の一元化に近づく。不完全な情報では十分に発揮できなかった薬剤師の職能を発揮しやすくなる環境が整う。

 薬剤情報を一元的に把握できるのは薬剤師だけに限らず、処方する医師も閲覧できる。医師が処方段階で最新情報を閲覧し、重複投薬や相互作用等に配慮した処方を設計するようになれば、これまで役割を担っていた薬局薬剤師の存在意義が薄れかねない。そんな未来の到来を予見し、薬剤師職能をどう発展させていくのかを今からしっかり考えておきたい。




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