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コロナ一色に覆われた未曾有の年

2020年12月25日 (金)

 新型コロナウイルス一色に覆われた激動の2020年が終わろうとしている。昨年、新元号「令和」の門出を祝った翌年に、このような世界的な感染症が猛威を振るうことを誰が想像しただろうか。改元前後には経済的に大きな動きがあると言われていたが、まさに今年、新型コロナが世界の経済状況を一変させた。

 人との接触を極力避けることが求められる中、非対面のリモートワーク、オンライン会議などが急速に浸透。郊外や地方に移住する流れも加速し、新型コロナがこれまでの働き方や住まいといった生活そのものを根底から変えるトリガーになろうとしている。

 薬業界も新型コロナ対応に追われた1年となったが、足下では医薬品の品質をめぐる問題、刑事事件にまで発展した医薬品卸の談合事件など、暗い話題も多かった。年末に発覚した小林化工の睡眠薬混入問題では、死者が出る最悪の事態となってしまった。

 こうした中で、来年の薬価中間年改定が決着した。対象は全品目の約70%となる1万2000品目で、後発品の約8割、新薬も約6割が引き下げ対象となる極めて厳しい改定となった。

 相次ぐ自主回収の問題は、企業の品質管理の甘さがあったことは確かで、その点の非は責められるべきだろう。しかし一方で、度重なる薬価引き下げが品質管理に影響を与えかねないことを危惧する。

 これから薬価改定が連続する中で、構造的な問題となっているとしたら、毎年の薬価引き下げがさらなる打撃となり、第2、第3の小林化工問題が出てきてもおかしくないからだ。

 9月には、改正医薬品医療機器等法の第1弾が施行された。薬剤師の養成や需給などを総合的に議論する検討会もスタートし、慌ただしい年となった。来年には改正薬機法の第2弾施行が予定され、検討会では薬剤師の需給調査結果を踏まえた議論に移行する重大な局面を迎える。

 さらに、睡眠薬混入問題では厳しい行政処分が予想され、毎年薬価改定時代における医薬品の品質管理という難しい課題も突きつけられることになる。

 今年の漢字の第1位は、「密」であった。新型コロナの影響を受けた1年で、いわゆる“3つの密”が提唱され、生活様式が密にならないよう国民が意識し続けたというのが理由だが、一方で大切な人との関係が「密」接になり、人とのつながりの大切さを再認識する機会になったという声もあった。

 冬になり、新型コロナウイルスの感染拡大はとどまるところを知らず、第3波では全国各地の医療現場から悲鳴が聞かれる危機的な状況にある。来年も新型コロナが収束するとは考えにくく、ますます多難な1年となるだろう。

 しかし、こういう時代だからこそ、薬業界が「密」接につながり、一致団結して課題を解決していくことで明るい光を照らしてほしい。



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