
あいさつする黒川新会長
大学発バイオベンチャー協会(BVAU)の第6回総会が都内で開かれ、新会長に黒川清氏(政策研究大学院大学教授)が就任した。黒川氏は、「大学発バイオベンチャーはうまくいかないのが当たり前で、100やって1つでも商品化できればいい方だ。それでもやるなら、本気でやらなければならない。大事なことはアクションだ」と、黒川流のあいさつで喝を入れた。
総会では冒頭、今年5月7日に急逝した故水島裕会長に黙祷を捧げた。役員体制では、黒川会長のほか、会長代行に森下竜一氏(アンジェスMG取締役、大阪大学教授)、副会長に中冨一郎氏(ナノキャリア社長)、理事に水島徹氏(熊本大学大学院医学薬学研究部薬学微生物学分野教授)が新たに就任した。
討論では、来年度に創設が予定されている「イノベーション創造機構」(仮称)に対して期待を寄せる意見や、「バイオベンチャーへファンドが投資するためには信頼が必要であり、信頼を得るためには大手メーカーとの提携が必要だ」との意見が出された。
総会に出席した竹中登一アステラス製薬会長は、「われわれ企業や大学内の『目利き』が選んで商品化すればいい。大学の研究者は自由奔放に研究することが基本だ。大学バイオベンチャーには、どこもやっていない、全く新しい研究を求めたい」と述べると共に、「効率化を図るために、複数の大学発ベンチャーのライセンスや、治験の受託に特化したCRO的なものも出現するのではないか」との考えも示した。
総会の最後に黒川氏は、大学発バイオベンチャーという名称に疑問を呈し、「大学にはベンチャーはできない。大学はシーズを研究するのが本領だ。シーズを研究しているところへ客観的に評価できる企業が入ることで、複数のシーズを組み合わせることも可能になる」と厳しい意見を述べた。