東京都薬剤師会、東京薬事協会、東京都家庭薬工業協同組合、東京生薬協会、東京都薬種商協会の在京5団体は先月末に、東京新宿で「よく知って、正しく使おうOTC医薬品」と題したイベントを展開した。来年6月からの導入が予定されている一般用医薬品の新しい販売制度などを、一般消費者に分かりやすく訴求するのが大きな狙いで、このほかOTC医薬品メーカー25社がブースを出展し、商品の展示や特徴、使い方などの説明を行った。
同イベントは、薬と健康の週間に関連して行われ、東京都が後援した。昨年、東京薬事協会と東京都家庭薬工業協同組合では「セルフメディケーションと家庭薬」と題して、一般用医薬品の正しい知識や使い方を普及啓発するイベントを、小平市の都薬用植物園で開催したが、今年は改正薬事法に伴う一般用医薬品の新たな販売制度の開始が近づいていることも合わせ、規模を拡大させた格好だ。製販の関連団体が連携、協力して新販売制度の理解促進に努めるのも、初めての試み。
会場では、販売制度が変わることをイラスト等で解説したパネルを掲示し、関係者が来場者の質問に応じた。アトラクションスペースでは大道芸が行われたり、Q&A形式のクイズでセルフメディケーションと新販売制度を解説するなど、楽しませる工夫も盛り込んだ。
また、無料の「くすりの街頭相談コーナー」では、薬剤師らが相談対応に努めた。さらには、実際に製品(空箱)を区分ごとに陳列した「新制度対応模擬店舗」も注目を集めたが、いよいよ新制度が間近に迫っていることを感じた関係者も多かったに違いない。
ただ惜しむらくは、土曜日ということもあって通行人は多くいたが、何のイベントかが分からずに通り過ぎる人も多かったことだ。周囲に目につく幟などがあったらと感じたが、恐らく行政面での制約があったものと思われる。とはいえ、関係者が懸命に呼びかけを続けたことで、非常に多くの人が会場内に足を運んだ。
イベントには日本OTC医薬品協会も参加し、パネルによるOTC医薬品の解説や、協会作成の啓発用小冊子「セルフメディケーションハンドブック」の配布も行われた。その背景には、今春に同協会が実施した一般を対象とした意識調査(全国の男女1000人を対象)で、新販売制度を含めた認知度が今一つだったことがある。
OTC医薬品という言葉を「知っていた」人は23・9%で、セルフメディケーションという言葉については、認知度は5割を超えたものの、「知らない」人も43・8%あった。来年から販売制度が改正されることについては、まだ十分に周知されていない状況から当然ともいえるが、「知っている」人は僅か7・3%だった。
ただ、同調査にも見られる傾向だが、言葉の認知度としては低いものの、「知らないが関心がある」という回答は結構多い。まさにOTC医薬品が健康な生活を維持する上で欠かせない、身近な存在ということだろう。それだけに、新販売制度の周知活動は一層、重要度を増してくる。日本チェーンドラッグストア協会もパンフ等を用いて周知に努める計画であり、今後は様々な場面で製配販、行政、薬業関係者が一体となった取り組みを期待したい。