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「創薬国」維持へ新たな制度設計を

2021年04月09日 (金)

 2021年度がスタートした。製薬業界では今月に中間年薬価改定が行われ、品目数では7割、影響額では全品目改定時の9割に及んだ。改定の対象範囲が当初の想定を超えたことにより、企業経営への大きな影響を懸念する声も出ている。革新的新薬の創出などイノベーションの推進に実効性の高い制度設計が急務である。

 製薬企業が成長していくためには、革新的新薬の創出が重要なカギとなる。医薬産業政策研究所のレポートによると、10~19年に新規化合物として、各国・地域及び2極以上で承認された品目のいずれの集計においても、日本が世界で2番手の新薬創出国であることが明らかになった。日本企業全体を見ると、低分子医薬品を強みにしている製薬企業が多い中、バイオ医薬品の創出にも寄与していた。

 医薬品開発が低分子医薬品からバイオ医薬品にシフトし、一つの薬剤を承認取得するために必要な研究開発費も高騰している。

 企業体力で勝る海外のメガファーマはM&Aによって創薬力のある企業を買収し、創薬のプレイヤーが世界的に集約される中、日本企業の地位低下が指摘されている。厳しい国際競争に直面する中で、何とか創薬国として持ちこたえている状況だ。

 日本で承認された新薬数も20年は125品目と過去10年間の年平均承認品目数より高い水準を示し、19年に比べ13品目増加していた。ただ、18年度からの4年連続薬価改定や今後実施される毎年薬価改定、さらには新型コロナウイルス感染症拡大による医薬品開発の停滞と市場への悪影響が懸念される。

 IQVIAは20年の国内医療用医薬品市場が再びマイナス成長に転じたと発表した。日本市場でマイナス成長が続けば、日系製薬企業の足元が揺らぎ、新薬創出力を失わせると同時に、日本での新薬承認数にも影響を及ぼすかもしれない。

 全国の疾患登録システム(レジストリ)を活用した医薬品開発の仕組みや先駆的医薬品指定制度、条件付き早期承認制度の法制化など、新薬開発を支援する環境整備は進んできている。

 ただ、医薬品の価値が適切に反映されているかイノベーションの評価があいまいであるため、ちぐはぐさが目立つ印象だ。承認申請するまでの研究開発促進策と、イノベーションの成果を評価する薬価制度に一貫性を持たせた制度設計が必要ではないか。

 もちろん、新薬創出国としてあり続けるためには、製薬各社の努力も欠かせない。イノベーション創出に向けては、時には積極的にリスクを取ることができる体制も備えておく必要がある。

 新たな価値を創造できる研究者の登用など人材や組織づくりも重要だ。国と企業のそれぞれの立場でイノベーションを支えていく仕組みを考えなければならない。




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