東京都などに12日からまん延防止等重点措置が適用された。3月21日に緊急事態宣言が解除されて3週間後だ。既に対象となっていた大阪府では13日、1日当たりの感染者数が初めて1000人を突破するなど、新型コロナウイルス感染症の拡大傾向は収まる気配がない。緊急事態だろうが重点措置だろうが、名称を変えても国民が正しい対策を実行しなければ意味はない。
暗いニュースばかりではない。特にスポーツ界では人々を勇気づける明るい話題が相次いだ。白血病から驚異の復活劇を見せた競泳の池江璃花子選手。東京五輪が1年遅れとなったことで、先日の日本選手権で優勝して代表に選出された。そして、日本人として初めてプロゴルファーの松山英樹選手がマスターズ・トーナメントで優勝して悲願を達成した。これらの出来事は、大きく取り上げられて日本人の感情を大いに熱くした。大リーグの大谷翔平選手の活躍も連日報道されている。
コロナ禍の今、感染防止と共に免疫力向上の重要性も指摘されており、食事、サプリメント、生活習慣に限らず、前向きの感情は免疫力を上げるとの報告もある。スポーツの明るい話題は免疫力を上げてくれている感じがする。
新型コロナウイルスに関しては、高齢者に対するワクチン接種が始まったが、新たな脅威として変異ウイルスの拡大が懸念されている。東京iCDC(東京感染症対策センター)の事務局は変異株について解説している。東京iCDCは、感染症に関する政策立案、危機管理、調査・分析、情報収集・発信など、効果的な感染症対策を一体的に担う常設の司令塔・拠点である。
同事務局は、国立感染症研究所報告を用いて、東京など関東圏では、「E484K」単独変異と呼ばれる変異株が多く確認され、既に都内では全体の約半数を占めている状況であると推察されていることを紹介した。
変異はコピーミスして遺伝情報が変化したことであり、「E484K」変異とは、484番目のグルタミン酸(E)がリシン(K)に変化したことを表しているという。このE484K変異株については、従来の株と比較して感染力の違いは明確になっていないが、ワクチン効果が低下する可能性が懸念されているようだ。一方で、関西圏で多数報告されている従来の株に比べて感染力、病原性が高いとされる「N501Y」変異株の拡大を懸念している。
同事務局は、「変異株といっても感染対策は変わらない。手洗い、マスク着用、3密を避けるなどこれまで行ってきた基本的な感染症対策を徹底していくことで感染のリスクを確実に減らすことができる。感染しないために、新型コロナを正しく知り、正しく恐れ、行動していこう」と感染防止基本対策の徹底を呼びかけている。感染防止には、一人ひとりの正しい行動が求められる。