厚生労働省は11月27日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会にスイッチOTCのH2ブロッカー(アシノンZ、アルタットAなど)の市販後調査結果を示し、いずれも「指定医薬品」からの解除とはせず、今後とも薬剤師による対応が必要とした。また、医療用医薬品で抗悪性腫瘍治療薬の「タルセバ錠」(中外製薬)、注意欠陥多動性障害(ADHD)の小児用治療薬「コンサータ錠」(ヤンセンファーマ)に関する市販直後安全性情報の収集結果も報告された。
2002年にスイッチOTCとして承認され「アシノンZ」(一般名=ニザチジン、ゼリア新薬)は、承認直後から今年2月16日まで、市販後調査が行われたが、薬局での特別調査では3260例中4例(7件)で副作用が報告された。このうち未知の副作用は「腹痛」が2件見られたが、継続服用で回復あるいは軽快し、関連性は不明確な症例と判断された。
「アルタットA」「イノセアワンブロック」(ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩、あすか製薬)も、承認直後から3年間の市販後調査が行われ、特別調査では3146例が報告され、このうち副作用が5例見られた。いずれも非重篤、予想できる副作用であった。
一方、タルセバ錠(25mg、100mg、150mg)は07年12月18日から6カ月間、国立病院北海道がんセンター、川北総合病院ほか全国の4施設で定点観測が行われ、調査期間中に40人の患者に使用された。その結果、緊急の安全対策措置が必要となる重篤な副作用発現は認められなかった。
未知で重篤な副作用としては「低酸素症」「意識消失」、未知で非重篤な副作用として「皮膚障害」が報告された。また調査終了後、製造販売業者のヒアリングで、「意識消失」についての情報を把握していないことが分かり、厚労省では調査を指示、情報入手したという。
また、コンサータ錠(18mg、27mg)は07年12月19日から6カ月間、札幌病院静療院、東京医科大学病院ほか5施設で定点観測がされた。その結果、緊急の安全対策措置が必要となる重篤な副作用発現は認められなかった。ただ未知の副作用として「焦燥」が報告されたが、製造販売業者は「焦燥」についての情報は把握していなかった。同様に調査を指示、情報入手したという。
両事例の報告を受け委員からは、いずれも定点観測と製造販売業者による情報収集で、報告のギャップが生じた点について、制度上の問題があるのではないかとして質疑が行われた。製造販売業者による情報収集の体制に不備があるのではないかとの指摘もあった。