2006年6月の改正薬事法の公布から早くも2年半が経過。改正薬事法の成立が、ついこの間のように感じられ、まさに“光陰矢のごとし”を実感する。改正薬事法の施行では、昨年度の医薬品リスク分類に続き、今年4月には登録販売者制度が施行され、初めての登録販売者試験が実施された。あとは、医薬品ネット通販論議で、先延ばしとなっている販売体制・環境を規定する省令の公布を待つのみで、来年6月からスタートする新医薬品販売制度への移行に向け、いよいよ大詰めの段階に来た。
改正薬事法の目玉でもある登録販売者。今年8月以降、全都道府県で実施された第1回試験では、結果として全国で延べ6万0271人が受験し、4万1190人が合格。試験の難易度とも相関する合格率では、全国平均で68・3%と、受験者の7割近くが合格した計算だ。その一方で、自治体別の合格率では最大で50ポイント程の格差も生じることになった。
今年度2回目の試験は、今月25日の関東エリアを皮切りに、来年2月下旬までに32都道府県で順次、実施される。新制度への円滑な移行に向けて、どの程度の登録販売者数が必要なのかは未知数だが、第2回の出願状況などから、最終的には今年度506万人程の登録販売者が誕生しそうな感じだ。
今回の試験で、各自治体の薬務主管課は、試験問題作成から、試験日の日程調整、さらには受験者数の想定に伴う試験会場の確保など、初物尽くしとなった。そうした中で、各地での試験が滞りなく実施されたことは、大きく評価できる点でもある。
その一方で、試験問題の中身については、ほとんどの自治体で、不適切問題が発生するなど、テクニカルな課題は残った。
また、第1回試験では、本紙も各都道府県の実施要綱などの公示情報をいち早く収集し、紙面や当社のホームページ上で随時、速報してきた。そうした中、情報開示で、気になる点もあった。その一つと挙げられるのが、試験概要の「公示日」である。試験実施日との兼ね合いもありバラツキがあるのは仕方ないが、最も早かった神奈川県は4月1日だったのに対し、最も遅かった沖縄県は6月20日だった。また「受験願書提出期間」も東京都の8日間が最短で、最長は愛知県の2カ月半と大きな開きもあった。
公示日や願書提出日のバラツキは、各自治体の考え方の違いのほか、諸事情もあり、善し悪しの判断は一概にできない。また、結果的に7ブロックが統一日程で試験が実施される結果となったが、そうした情報は各自治体ともに公式には示すことはなかった。いや、示すことができなかったのかもしれない。些細なことだが、自治体の横の連携の難しさも垣間見える。
ただ、根本的な問題もある。以前も指摘したが、受験資格(特に実務経験1年以上)の確認だ。薬務主管課としては初のマンモス試験だったことで、実務経験の確認は書類上、“性善説”で行うしかなかったとも聞く。
また、受験地制限がない中、北は北海道、南は沖縄からの出願者があった自治体もあり、確認自体が事実上不可能に近い現状もあった。中には受験資格を満たしていなかった合格者もいるのではないか。そんな疑問は漠然と残る。
そうした小さな綻びから、新医薬品販売制度が骨抜きにならないよう、来年の法施行後も、行政サイドにおける監視・指導体制の強化が必要だ。