米食品医薬品局(FDA)は6月21日、小児の静脈血栓塞栓症(VTE)治療薬として、経口抗凝固薬のPradaxa(一般名ダビガトランエテキシラート、日本での商品名プラザキサ)ペレット剤を承認したことを発表した。適応は、静注血栓溶解療法を5日以上実施した、生後3カ月以上12歳未満の小児におけるVTEである。FDAはまた、初発のVTEに対する治療を完了した、生後3カ月以上12歳未満の小児における血栓再発予防としてのPradaxaの使用も承認した。
さらにPradaxaカプセル剤についても、8歳以上の小児における、静注血栓溶解療法を5日以上実施した直後のVTEと、初発のVTEに対する治療完了後の血栓再発予防を適応として承認された。
これまで唯一承認されていた小児用の抗凝血剤は注射薬であり、経口薬の承認は、Pradaxaが初めてである。Pradaxaはもともと2010年に、成人の非弁膜症性心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症の予防を適応として承認されていた。
Pradaxaによる血栓治療の安全性と有効性は、18歳未満の小児患者267人を対象とした非盲検ランダム化比較試験で検証された。この試験では、対象者をPradaxa投与群(177人)と標準治療群(90人)にランダムに割り付けて、両群での複合エンドポイント(血栓による死亡なし、血栓の完全消失、血栓の再発なし)の達成率を比較した。その結果、達成率は、Pradaxa投与群で81人(45.8%)であるのに対して、標準治療群では38人(42.2%)であった。また、血栓再発予防薬としてのPradaxaの安全性については、血栓の既往歴を持つ214人の小児患者を対象とした非盲検単群試験で評価された。主要評価項目は、血栓の再発、大出血または小出血、全死亡または血栓に関連した死亡であった。その結果、血栓が3人(1.4%)に発生したが、これは上述のランダム化比較試験の標準治療群での再発率と同程度であった。
頻繁に生じるPradaxaの副作用は、消化器系の症状と出血である。FDAは、Pradaxaの投与により、命に関わる重篤な出血が生じる可能性のあることを指摘している。また、生体弁の移植患者やトリプルポジティブの抗リン脂質抗体症候群の患者に対する同薬剤の投与は推奨されていない。添付文書には、早期の治療中断により血栓の再発リスクが高まる可能性があることのほか、脊髄に処置を受けている患者では脊髄内の血液滞留が進み(脊髄血腫、硬膜外血腫)、深刻な副作用を引き起こす可能性のあることが、枠組み警告で記されている。
なお、Pradaxaの承認は、Boehringer Ingelheim社に対して与えられた。(Health Day News 2021年6月22日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-oral-blood-thinning-medication-children