あゆみ塾、三つのコース設定
狭間氏
「質の高いコミュニティファーマシストの育成」を理念に掲げる薬剤師あゆみの会（本部大阪市、狭間研至理事長）は、薬剤師認定制度認証機構（CPC）の認証を受けた生涯研修制度のプロバイダーとして薬剤師向けの様々な研修プログラムを提供している。昨年来の新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、従来の集合研修の開催が困難となる中で、今年度からオンラインを活用した継続的教育プログラム「あゆみ塾」を開講した。狭間氏は「コロナ禍でリアル開催が難しい集合研修について、オンライン形式で実施することで場所にとらわれることなく、継続的な研修につながる」とし、今年度の大きなトライアルと位置づけている。
昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインのみの研修会開催を余儀なくされた。今年度はオンラインを活用した学習機会を提供するため4月からオンライン塾「あゆみ塾」を開校。ここでは、継続的教育プログラムを提供し、薬剤師あゆみの会が目指す「質の高いコミュニティファーマシスト」を育成することを通じて、中小薬局の地域医療に貢献できる仕組み作りを支援していく考え。
オンライン学習では講師から受講者への一方的な講義となりがちだが、講義の他にグループワークや発表機会を設け、さらに振り返りを行う一連のサイクルを回していくことで、受講者の参加意欲と理解度を高め、より効果的な成果を育んでいく。「あゆみ塾」では三つのコース（ビギナーズ、ミドルクラス、エグゼクティブ）を設定。新卒薬剤師や第二新卒薬剤師の初期教育を想定した「ビギナーズ」では、かかりつけ薬剤師を目指す実践的研修として、[1]薬剤管理の基本、薬歴記載、地域医療における薬局・薬剤師の役割などの知識[2]調剤の基本的技術、薬歴記載方法、薬剤管理方法、バイタルサインなどの技能[3]患者応対のイロハ、服用後のフォロー、医師へのフィードバック――などの態度が学べる。
初年度は入門編として、調剤業務の基本がこなせるようになることを目標とし、2年目以降は服用後のフォロー、薬学的アセスメント、医師へのフィードバックなどの実践的な取り組みを行うことができることを想定。1回当たり2単位（3時間）のコースを1カ月に1回程度のペースで年間10回（2年間で計20回の予定）開催し、2年後には認定薬剤師の認定取得が可能なプログラムとしていく。狭間氏は「集合研修は短期集中型のため、継続的に取り組みにくかったが、オンライン研修では、場所にとらわれることがないため、逆に1年間を通じた継続的な研修につながる」と期待する。
また、薬局・病院での臨床経験（5年以降）を有し、さらなるスキルアップを目指す薬剤師を対象とした「ミドルクラス」（現在構築中）では、改正医薬品医療機器等法（薬機法）に対応し、在宅医療、一般用医薬品販売にも取り組み、組織マネジメントや教育手法を学ぶ。
ここでは、[1]薬学的専門知識、在宅の概要、セルフメディケーション、店舗管理、店舗運営などの知識[2]フィジカルアセスメント、多職種連携、患者指導、会議運営、ファシリテーションなどの技能[3]患者、医療・介護専門職との接遇、スタッフへの指導、組織活性化への取り組み――など態度の修得を目指す。1年目には、服用後のフォローの外来実践、在宅、OTC実践への準備、チームビルディングができることを目標に、2年目には在宅やOTCの取り組み実践や、組織活性化に向けた具体的アクションが進められるようなスキルを身に付ける。
あゆみ塾では新人、中堅社員の研修のほか、薬局経営オーナー向けサロンの運営を目指す「エグゼクティブ」も開講。狭間氏は「中小薬局経営者の多くは、経営方針の決定や従業員教育など、いろいろと迷いながら取り組んでいる。利害関係のない経営者同士で情報交換を含めた集まりを持とうというのがあゆみ塾のエグゼクティブコース」という。
ここでは、「会社を活性化し支える人材を、採用・教育・定着させ組織を強化する手法」「薬局の出店や、店舗レイアウトや商品構成など『調剤薬局』を越えた薬局づくり」「外来調剤への依存度を下げながら、売上と利益を確保するための具体的方法」「調剤報酬、診療報酬だけでなく各種行政、業界、地域医療ニーズの変化を知る」――など経営に役立てるためのヒト、モノ、カネ、業界情報などの収集・交換なども行う。会員内外の経営者の講師を招聘し、月1回の頻度で開催していく。
狭間氏は「リアル研修の意味は必ずある。オンラインを取り入れた現状の研修を実施していくことで、アフターコロナの時代にはさらなるハイブリッド研修の構築を目指したい」考えだ。
薬剤師あゆみの会
http://www.ph-ayumi.org/
