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薬学の射程は広い

2021年11月26日 (金)

◆先日、有機化学を専門とする薬系大学教授を取材した。本筋から外れた余談で「牛を対象にドラッグデリバリーシステムの研究をしたい」と聞いた
◆牛には胃袋が四つある。標的部位に薬物を届けるために各胃袋をどうかいくぐるのか。その教授は「一つの胃袋しか持たない人を対象にするよりも面白いはずだ」と話していた
◆「牛を相手にして採算性や実用性は」と質問してみた。「全世界に何万頭といて薬を飲んでいる牛も少なくない。市場ニーズはある」と言うのだ。教授はかつて病院薬剤師としても勤務していたらしく「牛を対象に身に付けた考え方や思考回路は、人を相手にする臨床現場でも生かせる」とも語っていた。市場ニーズの有無はともかく薬学とはかくあるべきと力強く感じた
◆「薬学を極めるからリスペクトを得られる。真のチーム医療の前提だ」と教授。薬学の射程は広い。学びの対象は必ずしも人でなくてもいいという。「王道である人を対象に考えることは多いが、あらゆる物から学べる。だから面白い」と笑顔だった。



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