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ピクトグラムの普及・活用を

2006年08月04日 (金)

 くすりの適正使用協議会はこのほど、くすりの絵文字「ピクトグラム」活用マニュアルを作成した。ピクトグラムは2004年、ユニバーサル・デザイン・フォーラムと共同で、医薬品の適正使用方法を分かりやすく絵文字にしたもの。これまで28種類あったが、今回既存の絵文字に訂正を加えると共に、新たに23種類を追加して合計51種類となった。いくら分かりやすいといっても、ここまで種類が増えては、使う側の薬剤師に混乱が生じることも懸念される。そこで使用促進の意味合いも含め、活用マニュアルの登場となった次第だ。

 総務省統計局の人口推計月報では、昨年8月1日現在、65歳以上人口割合が確定値で20・0%に達し、今年3月の確定値では20・3%とさらにアップした。以前から言われていた、高齢者が全人口の5人に1人という超高齢社会が現実のものとなった。

 高齢化はあらゆる分野に多くの影響を及ぼしているが、何と言っても最大の課題は、加齢による日常生活上の障害である。大多数の人は、若いときには目もよく見え、耳も遠くなく、判断も素早くできた。しかし寄る年波には勝てず、それまで簡単に対応できたことでも、多大な肉体的労力と精神的負担を強いられることになる。

 その意味で高齢者にも見やすく、直感的で意味が分かりやすい「くすりの絵文字」は、不適切な服用などを防止する上で有効な手段だ。当然ながら高齢者に限らず、子どもや薬の初心者などにも役立つことは言うまでもない。51種類の絵文字は、薬の使い方11種類、用いる時間の目安14種類、薬を用いるときの注意事項6種類、やってはいけないこと(禁止事項)18種類、日常生活で注意すること2種類から成っている。

 マニュアルでは、分類ごとの調剤シーンに合わせた使用例が細かく例示されているほか、絵文字の活用方法(ホームページからのダウンロードによる取り込み方法など)も記載されている。

 同協議会では今後、保険薬局を中心とした医療現場で幅広く使用してもらうための啓発活動をはじめ、チェーン薬局へ導入アイディアを持ち込んで調剤現場でトライアルを実施する実践例の拡大、広報・宣伝活動やレセコン・ソフト企業へのアプローチなど、各種の展開方針を示している。

 また学校教育現場に対しては、51種の絵文字を記載した「ピクト下敷き」を作成し、くすり教育における啓発ツールとして活用する方策も、検討する予定になっている。第1弾として500部作成されたマニュアルは、会員に配付されたほか、要望があれば薬局などへも配布する考えのようだ。

 薬価制度のあり方、ジェネリック薬の普及促進、大衆薬の販売方法など、医薬品をめぐる様々な課題は山積しているが、薬は正しく使われてこそ、その本領を発揮するものである以上、“適正な使用”は最も重要かつ不可欠な原則だと言える。

 薬局薬剤師は調剤の際、薬の説明書や薬袋を用いて、患者に正しい服薬方法を説明している。この絵文字は、患者とのコミュニケーションを一層スムーズにして理解を促す効果に加え、服薬時に視覚に訴えることにより、誤った使用方法を防止できる最終ツールとしての役割も期待できる。薬剤師が積極的に活用し、「くすりの絵文字/ピクトグラム」が普及していくことを望む。



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