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時宜を得た基準薬局制度の見直し

2006年08月09日 (水)

 日本薬剤師会は「都道府県薬剤師会認定基準薬局」の認定基準見直し作業を進めている。早ければ10月にも見直し案が都道府県薬に示される予定であり、来年4月から適用していく方針という。

 医療法改正により、薬局が「医療提供施設」として位置付けられ、薬剤師・薬局が正式に医療の仲間入りを果たした。それだけに、仮に認定率が低下しようとも、わが国の薬局を代表する「基準薬局」が、さらにレベルアップすることが何より重要だ。同時に、中身が向上したことを、広く世の中へアピールしていくことが、日薬にとって最重要課題の一つと言えよう。

 基準薬局が制度として発足したのは、1990年4月のこと。当初は19項目の認定基準と8項目の努力目標等を規定した「実施要領」により運営されてきた。その後、開局薬剤師の代表として初の会長に就任した吉矢佑氏の時代になり、第2次医療法改正(93年4月)、在宅患者訪問薬剤管理指導の新設(94年8月)、薬事法・薬剤師法の改正(97年4月)など、薬局をめぐる環境変化が著しいことを踏まえ、97年に基準薬局制度は全面的に見直された。

 当時は分業率が約26%、先進県では40%台が出てきた時期だった。改定された実施要領では、認定基準を39項目に拡充すると共に、従来の努力目標は認定基準へ組み入れることによって、発展的に廃止している。

 基準薬局制度が創設された理念は、薬局の持つ総合的機能をより有機的・関連的に作動させ、地域医療の中核として役割を担い、住民のニーズに合った質の高い薬局・薬剤師活動を実践・拡大させるというものであった。現在では分業率も平均で50%を超え、30%以下の“発展途上”県は2県に過ぎない。この分業率進展を背景として、調剤機能に着目して医療法の改正が行われ、薬局が医療提供施設に定められたものである。そのため、今回つくられる新しい認定基準にも、当然その事実が色濃く反映されることが予想される。

 改めて現在の認定基準を見ると、大きく[1]薬局の従事者に関する項目[2]薬局の機能に関する項目[3]薬局の構造設備に関する項目[4]薬局業務に関する項目[5]薬剤師会活動等への協力・参加――の5項目からなり、それぞれ細目でカウントしていくと39項目に上る。

 具体的には、従事薬剤師の規定に、「日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師になることが望ましい」と、生涯学習の証明が努力規定にとどまっている。薬局機能に関しても、今後の医療体制が在宅重視の方向にある中、麻薬の取り扱いは必須だが、麻薬小売業者の免許取得は努力規定のままだ。さらに「基準調剤加算」の算定項目には、もっと細かく規定されている部分もある。

 一方、医療と医薬品の供給という柱のもと、改めて新薬剤師行動計画が策定される状況もあり、基準薬局制度の見直しでは、将来を見据えた薬局像が描かれるものと期待される。

 医療提供体制が大きく変革する中で、社会から求められる職能への期待に応えていくため、一定の規範を決めて広く表明していくのであれば、時宜を得たものと歓迎したい。自らを律するためのハードルをより高く設定する意義は大きく、その基準を遵守していく姿勢を徹底すれば、医療の質向上という大きな成果に結び付くだろう。それが必ずや薬局・薬剤師に対する社会の信頼にもつながる。



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